あたるの練馬的ガールハント? その2




 相変わらずガールハントを続けているあたる。もう昼ぐらいになる。
 (お……なんか色っぽいおねーさん発見!)
 「あの、おねーさん、僕と一緒に……」

   ふしゅる〜…

 「え゛………」
 (おねーさんがガキに……?)
 「何か用なの?」
 「いや、別に……。」
 あたるはなんでもないかのようにすたたたと走って行った。
 (さっきあの子供がとても色っぽいおねーさんに見えたのは気のせいかなぁ……?)



   ぎゅるる〜…

 (あー…腹へった。やっぱり腹が減ったらガールハントはできぬってな……)
 「どっか食う場所ねーかな…?」
 そんなことを思っていると、

   ドドドド……

 またあたるの後ろから物音がした。
 (またさっきの奴じゃなければいいんだが……)
 そう思いながら振り向く。さっきの男ではなかった。
 しかし、走ってきたのは……郵便ポストだった。
 「どわーっ!?」

   どーん…

 何をする暇もなく、あたるは郵便ポストに飛ばされた。
 (なんで郵便ポストが走ってんだ……?)


   ひゅるる……ぼてっ

 空から落っこちたあたるだが、すぐに起きあがる。そこはさすがトカゲのシッポのような再生力と言ったところだろうか。
 「ん……?」
 なぜか、落ちてきた横にお好み焼き屋があるではないか。
 (ラッキー!)
 早速その店の中へ入っていった。
 「お、いらっしゃい〜!」
 「あ、いらっしゃいませ!」
 店の中へ入った瞬間、大ベラを背負った女の子がすぐ目の中に入った。隣にいたウエイトレスもかわいかったのだが、なぜかこっちの方は食指が動かない。
 「お客さん何がええ?」
 「えーと、その前に住所と電話番号教えてくれない?」
 「あ、出前とるんか?」
 「そーじゃなくて、君とー……」
 そう言いつつ、メモを出そうとした時、

   ドドドド……

 何かさっきのような物音が店の外からしてきた。
 「もう、またかいなっ…」
 その女の子はため息をつくように言うと、戸の方を見た。音はだんだん大きくなってくる。
 (もしかして……)
 ……あたるの予想は見事に当たった。

 「突撃〜〜〜!」

   ぐゎしゃーん……どがっ  

 さっきの郵便ポストが戸を突き破って突進してきたのだ。そしてその郵便ポストはそのままカウンターに激突し、ポストも店もメチャクチャである。
 「ちっ、しそんじたか。」
 ぐしゃぐしゃの郵便ポストから出てきたのはまたまたかわいい女の子。でもやっぱり食指は動かない。動くのはあの大ベラを背負った子のみ。
 「…つ〜ば〜さぁ、あんた毎日毎日うるさいわっ!」
 「右京さま、だったら私もあの人みたいにアルバイトさせてくださ〜い。」
 「あいつはちょっと訳ありや!」
 「え……私ってちょっと訳ありでウエイトレスやらしてもらっているのですか?」
 「訳ありってか訳あり過ぎやけどな……」
 「あの……住所と電話番号は……」
 「あぁ、お客さん、すまへんけどもう少し待ってて下さいな。」
 「は、はぁ……」
 そう言われたのであたるは待ったが、10分ほど待っても全然かわらない。
 (こんなに待ってんだったら、どっかの女の子をガールハントして、お茶でも飲んでた方がいいな……)
 そう思いつつ、あたるはひびの入った戸をまたいで、店を出ていった。


 「……あ!せっかくのお客さんが出ていったやんけ!これもつばさ、あんたのせいやぞ!」
 「右京さま、私何か悪いことしましたか?」
 「しすぎやどアホ!」
 「右京さま、一体この人と何が……?」
 「な、なんでもないへん、小夏、おまえはそこ片づけててな。」




 (あー……腹減った…)

執筆最終更新日:2002年5月1日
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