す〜ぱ〜るーみっく 〜それぞれの出会い(前)〜
(ここ……どこだろう……)
草原で、小学校中学年くらいの男の子がなにやら大きな荷物を担いで歩いていた。着ている服はなぜかかなりボロボロでブカブカ。髪も短くてボサボサ。ただ、体つきはしっかりしている。
<どどどど……>
「ん?」
男の子は、後ろから何か聞こえたように思って振り向く。
「乱馬ーっ、もうネコなんかいないでしょーが!」
「そうだ、潔く殴られやがれ!」
「って……今度はおめーらがいやなんだよ!」
<どぎゅる>
男の子は乱馬に踏まれ……そのままのびた。
「ちょっ……ちょっと乱馬待ちなさい!本当に何もしないから。」
「そ、そうか?」
そういわれて、乱馬はおそるおそるあかねと良牙のところへ来る。
「乱馬、おまえこいつ踏んでいっただろ。」
良牙は気絶している男の子を見ながら言った。
「あ……ご、ごめん、大丈夫か!?」
乱馬はすぐに男の子の所へ駆けよった。
(何だろう……最近、同じ夢をよく見る。)
ある村に住む、彼女は思った。
その夢とは、かつて自分がいた「昔の未来」の夢である。公園の横、ガスタンクの前の道で。
まだ幼児だった彼と手をつないでいる自分、今の彼と抱き合っている自分、そして……知らない女の子とぎゅっと手を握りしめている自分。彼のことはわかるのだが、女の子とその時に手をつないだ覚えはない。
(あの女の子……誰だろう……?)
「涼子、おめぇ何ぼけーっとしてやがんだ?」
そこへ、その彼が声をかけた。
「なんか最近おかしいぞ。会ったばかりの頃みてぇによ。」
「な、なんでもないわよ。それよりも宿丸……腕大丈夫?」
「ああ……今日こそあいつ、ぶっ殺す!」
「………?」
「あ、気が付いたみたい。」
その男の子は最初は周りをきょろきょろ見ていたが、乱馬を見たとたんに何かを思い出したらしく。
「てめぇ何しやがる!」
いきなりそう叫んで殴りかかってきた。乱馬はその拳を軽く手のひらで止める。
「踏んじまったのは謝るって。ただ、いきなり殴ってくるのはよくねぇぞ?」
「ふんっ……」
男の子は仕方なく拳をうしろへ戻す。そして、何か考えてから乱馬たちにこう問いかけた。
「おまえら、ここどこだかわかるか?」
「どこだって言われても…」
「私たちもわからないよね。」
「……なんだ、おまえらも方向音痴なのか。」
その言葉で、黙ってなかったのが一名。
「てめぇガキのくせになんつーことを……!」
<ばきっ>
殴ろうとした良牙は先に乱馬に殴られる。
「落ち着け、良牙。」
「言っとくけど、俺はガキじゃねえ!」
「え……?」
こちらは犬夜叉一行。
「もうすぐ日が沈むのう。」
「今日も野宿ですか。」
その時、向こうから村人らしき人達が走ってきた。
「あ、あの人達じゃ。」
「犬耳の少年と不思議な服を着た娘、そしてその連れ……」
「ん?」
「私達のことかしら……」
村人達は、犬夜叉達の前でいきなりぺこぺこと頭を下げた。
「どうか、わしらの村を助けてくれ。」
「詳しい話は村へ来てからじゃ。」
「は、はぁ……」
そしてすぐにらんまに戻る。
「俺は司。一応こう見えても歳は15だ。」
「そんなこと言われても……どう見たって10歳前後にしか見えないぞ?」
「……仕方ないだろうな。元々こんな体じゃねえし。」
「じゃないって?」
「一ヶ月前のことだ……」
==一ヶ月前==
「くっそー……どこなんだここは……」
その時、司は山の樹海で道に迷っていた。
「………にしても、腹減った……」
一週間も迷っていたので、持っていた食料も尽きていた。大抵その場合はそこら辺にいた熊やら猪やら魚やらでもしとめて少し焼いたりして食べるのだが、なぜか今回はそのような動物にも会えない。
……と、その時目の前に見たことのないキノコが生えていた。
「お、丁度良い所にっ。」
別に司はそれが毒キノコかどうかとは気にしなかった。なぜなら、今までに間違えてツキヨタケやらイッポンシメジやらを食べたことは何度もあり、痛い目にもあったがそのおかげで毒には強くなっていたからだ。
司はそのキノコを少し火であぶって食べた。
「結構うまいじゃねーか、これ……」
それなりにいい味だったので、司はこれが毒キノコではないと思いこんでいた。
<ドクン>
「!?」
とその時、急に胸の所がうずいたのである。
(これ、毒キノコだったのか……?)
そう思う暇もなく、司は何かヒュッとなっていくのを感じた……。
=====
「で……気がついたらこんな体になってたんだ。」
「……なるほど。」
「そうなんだ……」
乱馬と良牙は司の話していることがほとんどわかった。かつて自分たちも同じ目(?)にあったのだから。あかねはその時の二人の面倒を見ていたにもかかわらず、相変わらずの鈍さでそれとは別の風に考えている。
「大体わかった。で、元の体に戻りたくて旅をしているってわけか。」
「まぁな。」
司はそう言った直後何かひらめいたらしく、今までよりも速く、大きな声で乱馬たちにこう頼んだ。
「そうだおまえら、そのキノコのこと知らないか?知ってたら連れてってくれ!」
「………え?」
いきなりのことに乱馬達は少し驚く。
「……あのなぁ、俺たちも少し用事があってな……キノコのことも少しはわかるが、生えてる場所なんかわからないぞ。」
「それでもいいんだっ。」
「乱馬、あんたキノコなんて何か知ってたっけ?」
「あかね、おまえなぁ……俺と良牙があんなに苦労したこともう覚えてねーのか。」
「……何かあったっけ?」
「って本当に覚えてねぇのかよ!?」
問題自体はたいしたこと無いのに、乱馬とあかねの口論が始まる。
ほったかされたように感じた司は更に大声になって話し始めた。
「俺だって生えてる場所もわかんねぇし、あの時混乱しちまったからキノコの形すら覚えてねぇ。それにこのまんまだと熊とか一撃で倒せねぇし、妖怪なんぞ出たら逃げるしかねぇしぃっ……」
「だからなぁ、俺と良牙が小さくなっちまって大変になったことがあっただろ!」
「あ……うん、それはわかるけどそれがどうかしたの?」
「……相変わらず鈍い野郎だな。」
「な、何よいきなり!?」
乱馬とあかねは口論に夢中で、ちっとも司の言うことを聞いていない。
「………おい、落ち着け。」
(こいつ、強気なのか弱気なのかよくわからない奴だな。)
仕方なく良牙が司をなだめる。本当は乱馬とあかねの口論にも入りたかったが、なかなか隙間が見つからない。
「ったく、せめてこれで方向音痴じゃなければなぁ……」
「え?」
良牙はなぜか、司が他人に思えない感じがした。自分も方向音痴だからだろうか。
「俺の家系……全員方向音痴なんだ。おかげでここ三年家にも帰ってねぇ。どうせただの農家だし、おまえらには関係なさそうだけどな。」
司の口調はまだ強気に聞こえたが、もう少しで泣き出しそうなのを堪えている感じだった。
「……家族全員が方向音痴なのか?」
「そうだ。別に文句ないだろ?」
家族全てが方向音痴。そんな家系は良牙の所をおいて他にないだろう。
(こいつ……もしかして俺のご先祖様か!?)
そう思ったとたん、あることを考えてしまった。もしそのまま司をほっとき、それで司を死なせてしまったら。
そうなったら……
「……そういうこと?」
「ったく、やっとわかったか。これとあれは同じのが原因なんだってば。」
「乱馬、あかねさん……こいつ連れていっていいか?」
「ぇ゛……」
良牙は司の手を持ってこう言った。いきなりのことに司もどう言えばいいか少しわからなくなる。
「良牙……いきなりどうしたんだよ?」
「その……」
良牙は司が自分の先祖だなんて言っても信じてもらえないだろうと思った。特に乱馬が。
「……とにかくだ。」
「こ、こいつが言ってるんだからおまえらもいいだろ!とにかく連れてけ!!」
とりあえず、司も言ってみる。
「……………」
これ以上何か話していてもどうにも決着がつかなさそうだった。
「……仕方ねぇ。ただ、俺たちが混ざった所で別に何も変わらねぇと思うけどな。」
「それと司くん、『おまえら』とか言うのは止めようね。あなたが15歳でも私達の方がまだ年上なんだから。」
「だって俺、おまえらの名前聞いてねぇもん。他のことも何にも。」
司は今までの調子を取り戻したらしく、また最初の時のつんとした口調になっていた。
「…………そういえばそうね。」
かごめ達は村人たちの案内で、ある村へ着いた。村の周りには何やら柵が作られているが、その所々が破られていて、村の中も崩れた家があちこちにある。
「一週間ほど前じゃろか。急に毎晩妖怪がこの村を襲うようになってのう……」
「最初は家畜を食われるだけだったんだが、一昨日からついに人まで食うようになってしまった。」
「おまけに火も吐くし……周りの村から妖怪退治をして旅をしているおまえさん達の噂を聞いたんじゃ、どうかお助けを……。」
「そうですか……わかりました。」
「まーた、ただの人助けかよ。」
不満そうに言う犬夜叉。
「犬夜叉、今回のは違うよ。急に妖怪が襲うようになったのだから、もしかすると四魂のかけらを持っているかもしれない。」
犬夜叉一行と村人達が話している様子を見ている女の人がいた。普通の村人のようで、普通の着物を着ている。年はかごめよりも少し上だろうか。
(あの子……夢の中に出てきた子とそっくり!?この時代に、あんな服で……あたしと同じように来たのかしら……?)
「あのー、すみませんが。」
急に声を掛けられて振り向く。さっき村人達と話をしていた弥勒だった。
「お名前は何というのですか?」
「涼子ですけど……」
「そうですか。では、私の子を産んでくれませぬか?」
「へ!?」
(ってこの人……何言ってんのよ!?)
涼子が戸惑っている所へ、甲冑を着ている男の人が来た。男の人は弥勒を睨みつける。
「おい。そこの法師。俺の涼子に何やってんだ?」
「法師様……ちゃんと相手がいるみたいだけど。」
(もう少し遅れてたら殴る所だったけど……)
「あ……そ、それはどうもすみませんでした。」
男の人は弥勒が涼子から手を離すのを見ると、今度は村人達を睨みつけた。
「大体なぁ、おまえらもおまえらだぞ、こんな奴らに助けを求めてよ。今までは野盗だって俺たちの手でなんとかしてきたじゃねえか。」
「んだども宿丸、野盗と妖怪じゃ格が違う。この人達は周りの村でも有名な妖怪退治の人たちなんざ。」
「おい、俺たちただの妖怪退治屋と間違えられてねーか?」
「犬夜叉、そういうことは言っちゃダメよ。」
「普通はそう見えても仕方ないしのう。」
「それになぁ、おまえも昨日あいつと戦って怪我しちまったじゃねえか。」
宿丸とかいう人の右腕は布で巻かれており、添え木がされている。恐らく、妖怪に負わされたのだろう。
「ああ?刀なんか片腕でも充分使えらぁ!」
「おい、てめえ。」
話に割りこんできたのは犬夜叉。
「妖怪は俺たちにまかせといて、おまえは寝ていな。それだとただの足手まといにしかならねぇ。」
「てめぇ何言ってやがる!俺は死んでもこの村を守るんだからな。」
(村でなくても、涼子だけは絶対に………)
(もうすぐ日が暮れるな……)
乱馬がそう思った所に、司が袖を引っ張った。
「おい。」
「なんだ?」
「この草とってけ。干して煮れば食える。」
「……どう見ても食用じゃねえと思うが。」
良牙も割りこむ。
「俺が食ったから確かだ。食料は水の次に大切な物だしな。」
司はそう言うと、そばに生えていた草を適当にむしり取った。
(こいつ……俺よりもサバイバルな奴だぜ。まぁ戦国だからだろうが……)
「ふう……ここの飯はうまかったのう。」
「あとは妖怪が出てくるのを待つだけ、ですか……。」
犬夜叉がそんな話をしている所へ、
「あのー……」
さっき弥勒に声をかけられた女の人が入ってきた。
「あ、さっきは法師さまが変な事してごめんね。」
「いいえ、そういうことじゃないんです。名前が分からないけど……セーラー服を着ているあなた、ちょっと来て欲しいの。」
「え………?」
(この人、なんでそんな言葉を知っているの?)
「かごめ、せえらあふくってなんだ?」
「犬夜叉には関係ないわよ。……行ってくるわ。」
かごめは女の人と一緒に部屋を出ていった。
「あなた……どこから来たの?」
「え……確か東の方からこの村へ来たような……」
「そういう意味じゃなくて。あなた、この時代の人じゃないんでしょ?」
「へ……!?」
女の人の言った言葉に、かごめは驚いた。その表情を見て、女の人もまた複雑な顔をする。
(やっぱりこの子、私と同じように……)
「あなた、名前は何て言うの?あたしは涼子。」
「……かごめです。」
そのうち、二人は小さな納屋にたどりついた。
「かごめちゃん……あなたに見せたい物があるの。」
涼子は近くのたんすの奥を探す。
「あったわ。あなたもこれが何か、わかるはずよ。」
「…………!」
涼子が出した服を見て、かごめは息をのんだ。
……青いセーラー服。こんな物が普通戦国時代にあるわけがない。
(私の他に現代から来て暮らしている人がいるなんて……でも、これは……)
「私もここに来て一年……だいぶ慣れたわ。でも、あたし以外に来た子がいるなんてびっくりね。」
「ここに来て一年……なんですか……?」
「どうしたの?」
「何か、計算が合わないの……この制服だった高校、確か私のいる現代から10年ほど前に、他の学校に統合されてなくなったはずなのに。」
そのセーラー服の高校は、かごめの時代ではちょっと前になくなっていたはずだった。
「……どういうこと……?」
その時、
<バキバキバキッ>
外で轟音と共に大勢の人たちの叫び声が上がった。
「な、何今の?」
「きっと妖怪が現れたんだわ。でも大丈夫よ、犬夜叉が倒してくれる。」
「犬夜叉?」
「犬のような耳をしている人の事よ。早く外に出ましょう。」
執筆最終更新日:2004年3月24日
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ああ、やっと短編キャラを登場させる事ができた……。
一方は短編キャラ、もう一方はオリジナルなキャラ。なんかかなりごちゃごちゃな展開かなぁ?