す〜ぱ〜るーみっく  〜乱馬ら三人、時代(とき)を超え…!?〜




 「あーあ。」
 かごめはある紙を見ながらため息をした。
 その紙とは、

第一回進路希望調査集計
高校名男子女子合計
都立
風林館高等学校231841
聖ヘベレケ女学院高等部66
コルホーズ学園高等学校437
青春学園高等学校8715
友引高等学校131528
仏滅高等学校000
満腹高等学校11617
平凡高等学校6814
焼畑農業高等学校527
私立
面喰学園高等学校358
戦国高等学校202
小伝馬高等学校000
今一高等学校123
真剣高等学校4913
その他、未定347
総合計8385168

 のことである。
 (今は未定にしといたけど……どこの高校入るんだろう……でも今はそれどころじゃないし……)
 「あっ、かごめー。」
 廊下で友達が呼んでいる。
 「なーに?」
 紙を持ちながらそこに行くかごめ。
 「かごめはどこの高校行くか決めた?」
 「まだ未定。」
 「そーんなこと言ってさぁ、北条くんと同じとこ入る気でしょ?」
 「え、そんなわけ……って、北条くんどこ入るの?」
 「なんか、風林館高校らしいわよ。」
 「……というか、風林館入る予定の子多いわね。」
 「それはね、一応あの高校にも受験の問題はあるんだけど、最後はそこの校長が適当に決めちゃうらしいんだって。だから、テストの成績悪い子でも入れるらしいのよ。」
 「特に男子なんかとても美人な先生がいるという噂でらしいし。北条くんはそんなわけないと思うけどね。」
 「ふーん……ところで、仏滅と小伝馬って誰もいないの?」
 「あんなのに入る子なんか不良に決まってんじゃない。かごめ、そんなことも知らないの?」
 「いや、そういう訳じゃ…じゃあ、戦国高校はどうなのよ。そこもすごそうな感じがするけど。」
 「あそこはさっきの二つよりもまだマシよ。それにこんなのに入るのはあのケンカ好きの二人以外にいないじゃない。」
 「……にしても、みーんな奇人変人がいる学校ばかりね。」
 「そうそう、宇宙人がいるという噂のとこやら男か女かよくわかんないのやらアシカみたいな人やらタイムスリップやら。一個ぐらい普通の学校があったらいいのにね。」
 「そうなのよねー……」
 「でもかごめ、もうそろそろ入る高校決めないとやばいわよ。」
 「そうね……。」

 かごめは学校が終わって家に帰った後、大きなリュックを背負って骨食いの井戸の中に入っていった。
 (高校……本当にどうしようかな……でも、やっぱり本当に今はそれどころじゃないのよね……よし、今度現代に戻ってきたら考えるっ!)



 その日の夜。話は天道道場に変わる。
 「あかね、もう肩のケガ大丈夫?」
 「大丈夫よ。だって乱馬を……」
 「ん?」
  <どか ばき ぼか どす ぴしっ>
 「こーんなにできるもん。」
 「…………。」
 「あかね、乱馬くんの方は大丈夫かしら。」
 「あれ、ちょっとやりすぎちゃったかなぁ…」
 「ケ、ケガが治ってよかったな……。」
 (俺は動くサンドバックか……?)


 次の日の早朝のことである。
 (ここは……どこだ?)
 乱馬が目を覚ますとそこには見たことのない風景が広がっていた。目の前にとても広い原っぱが広がっている。向こうに薄く山と森が見えている。しかし、なぜか乱馬の足は動かない。
 (……どうなってんだ?)
 そのうち、誰かが来た。一人だけではなく、何人かいる。どこかで見たことのあるような顔をしていた。
 (あれ?あの二人……誰だったかなあ…?)

  <ばっしゃ>
 「らーんま♪」
 乱馬に水をかけ、胸に抱きつく八宝斉。
 「んぎゃああああっ!いいかげんにやめろ、このくそじじいっ!」
  <どがしゃーん>
 八宝斉はらんまに思いっきり蹴飛ばされ、天井に大きな穴をあけて、空の彼方に消えていった。
 「ん?さっきまでのは……夢かぁ…。」
 周りをきょろきょろと見たが、やはりここは昨日自分が寝た部屋だ。
 「乱馬、まだパジャマ姿なの?」
 そこへあかねが来た。もう制服に着替えている。
 「ああ、今起きたばっかだし…。」
 乱馬は急いで服を着替える。
 「もう、早く行かないとまた遅刻よっ……あら?」
 「あかね、何かあったのか?」
 「これ、良牙くんのリュックサックだよねぇ…また来てるの?」
 リュックサックを片手で持ちながら言うあかねは、Pちゃんを抱いていた。
 『ぶきっ』
 「……いるかもな。」
 その時、
  <どか>
 上から「わしの宝」と書いてある箱が乱馬の頭に落ちてきた。
 「ちょっと乱馬、大丈夫!?」
 「いてて……大丈夫だよ。それにしても、変な夢見ちまったなあ……。」
 箱が落ちたとき、ふたが開いて中身が全部部屋中にちらかった。そして、ところどころ割れているのをセロハンテープで貼られた赤い手鏡、南蛮ミラーがらんまのそばに転がってきた。
 「…変な夢ってどんな?」
 「ふわぁーあ……えーと、どこだかわかんないけど、なんか原っぱが広がっていて…」
 らんまがあくびをした時、目から涙が少しこぼれ、あごのところまでくる。
 「…そこに誰かが歩いてきて……」
 涙はあごから落ち、南蛮ミラーの上に落ちた。そのとたん、
  <カー………>
 南蛮ミラーが輝きだした。
 「な゛っ……ちょっと、何でこんな所に南蛮ミラーがあるんだよっ。」
 「それはこっちのセリフよっ。あんた一体何考えてたの!?」
 「そりゃー、さっき見た夢のことだから……夢の中!?」
 『ぶきぃ―――!?』
 二人と一匹(いや三人?)はとまどう暇もなく、光の中に消えていった。

 「乱馬くーん、あかねー、早く行かないと遅刻するわよーって、あれ?」
 なびきが来た頃には誰も……。
 「いない……」



 そして……。
  <―――カッ………>
 鏡の光が消えていった後、らんまとあかねとPちゃんの周りには今まで見たことのないとても広い原っぱが広がっていた。
 「ちょっ、ちょっとここどこなのよっ!」
 「……俺もよくわかんねーっ!」
 「とにかく、さっさと元の世界に戻らせてよっ!」
 『ぶきぶきっ』
 「あー、戻っちゃる。」
 そう言って、らんまは着かけていた服をさっさと着た。そして、南蛮ミラーを持ったとき、そばでなにか鳴き声がした。
  <にゃー…>
 「ねっ、ねこ……!?」
 「乱馬、今はそんなこと気にしないでっ。」
  <にゃんにゃんにゃん……>
 よく見ると、らんまのすぐ足もとに猫がいた。
 「ひい〜〜〜〜っ、ね゛ごね゛ごね゛ご〜〜〜っ!!」
 「ちょっと、待ちなさいよっ!」
 びっくりして猫から必死で逃げるらんまとそれを追いかけるあかね。しかし、あの時あかねは良牙のリュックも一緒に持ってきてしまったのだ。さすがに重くて、走りにくい。ただ、猫はらんまを追いかけてはなく、さっきらんまがいた場所で毛繕いをしていた。
 「乱馬、別にあの猫追いかけてなんかいないわよ。」
 「え……?」
 本当かどうからんまが振り向こうとしたとき、
  <ご〜ん>
 木にぶつかってしまった。目がぐるぐる回っている。
 (こうなったら、私が涙を流して戻るしかないわね。えーと、あれ……?)
 「乱馬。ねえ乱馬ったら。」
 「いたたた……なんだ?あかね。」
 「南蛮ミラーはどこにやったのよ。」
 「え、ちゃんとこの手に持って…………ない!?」
 「あんた、もしかして、さっき逃げ回ってたときにどっか投げ飛ばしたんじゃないんでしょーね。」
 「…そうみたい。」
 「なんですって〜!?」
 「しかもさっき闇雲に走ってたしなぁ……。」
 「あんたねえ、あれがなかったら大変なことになるじゃないのっ。とにかく、探すわよっ。」
 「……うん。」



 「…ん!?」
 犬夜叉の鼻がピクッと動いた。
 「どうしたの、犬夜叉。」
 「妖怪の臭いでもするのですか。」
 「いや……普通の人間だ。でも、さっきからいたんじゃねえ。まるで、いきなりここへ現れたような…どっかで会ったような気がする。」
 「……いきなり?」
 「ああ。」
 「テレポートみたいに?」
 「なんだ、そのてれぽおとというのは。」
 「…別に気にしなくていいわよ。」
 (でも、普通の人がいきなりここに現れるなんてことないしなぁ…。)
 そして、犬夜叉達がその方向に走って行くと、犬夜叉とかごめがどこかで見たことがあったような二人がいた。三つ編みの人とショートカットの人………らんまとあかね。

 「ん…?」
 草をかき分けて鏡を探すらんまとあかねも向こうから誰かが来るのに気づく。
 (……俺が見た夢と同じじゃねーか。にしてもあいつ、本っ当に誰だっけな……)
 (あれ、あの子…かごめちゃん?でも、こんなところにいるわけ……)
 「……かごめちゃん?」
 あかねはとりあえず、呼んでみた。
 (普通この世界にいるわけないと思うけど……)
 「そ、そっちこそ、あかねちゃん?」
 かごめも呼んでみる。
 「やっぱり…かごめちゃん?」
 「あかねちゃん?」
 「「え!?」」
 一瞬、二人はとまどった。
 「な…なんでこんな所に?」
 「それはこっちの方が聞きたいんだけど…」

 一方、らんまと犬夜叉は…。
 「あーっ、おめー……」
 「確かてめーは……」
 「半バケ。」
 「変態。」
  <ぴき>
 「「その名で呼ぶんじゃねえっ!」」
 二人は同時にどなる。まるで乱馬とパンスト太郎の会話だ。そしてそこからまた口げんかが始まる。
 「俺はなぁ、ちゃんと乱馬っていう名前があるんだよっ。」
 「俺だって、い、犬夜叉っつー名前があるんでいっ。」
 「つーことは、おめーやっぱり犬か?」
 「っ……一応犬だけどよ…」

 「あの二人、かごめ様のお友達で?」
 「お友達というか、まだこれで二回目なんだけど…でもこの世界の人じゃないの……。」
 弥勒はかごめのセリフの後半部分を聞かずにあかねの所へ行った。
 「だから…って、聞いてない!?」

 「あの、お名前は…?」
 「え?…あかねですが……。」
 「年はおいくつでしょうか。」
 「……16です。」
 「16ですか…いい感じですね……」
 「…は?」
 「どうか私の子を産んでくださらぬか?」
 弥勒はあかねの手をぎゅっと握ってそう言った。
 「ええっ!?」
 『ぶきいっ!?』

  <ぴしっ>
 (み、弥勒様……)
 かごめたちは一瞬固まった。珊瑚は見て見ぬふりをしている。
 「珊瑚ちゃん、もしかしてまた…」
 「……別にぃー、怒ってなんかいないわよ。」
 珊瑚の声はとても低く、誰かを恨んでいるようなすごく重みのある声だった。
 (相当怒ってるな、こりゃ……)

 「え、えーと、あの、その、一応私には許嫁がいるんです。」
 「そうなのですか…。」
 「つーかてめー、あかねになに言いやがるっ!」
 話に割りこんできたのはらんまだった。あかねをかばうように弥勒との間に立つ。
 「そういうこと言うんだったら俺にしろ!」
 「…あんた、何言ってるのよ。」
 「……あなたの方は口説く気になれませんのですが、なぜなんでしょうかねぇ…。」
 「へ………?」

 「なんか、あの女の子って男っぽい口調だね。」
 「いや、その、なんと言ったらいいのか…。」
 「…弥勒、それある意味で合ってるぜ。こいつがこの前話した奴だからな。」
 「……それって何のことでしたっけ?」
 「あの男だか女だかよくわかんねー奴のことでいっ!」
 犬夜叉の言葉にらんまは少しぴくっとした。
 (男だか女だかよくわからねー奴なぁ……。)
 「あのー、ところでお湯は…ないのか?」
 「お湯……?」
 犬夜叉とかごめは乱馬が水をかぶると女になるのは知っていたのだが、そこから男に戻るにはどうするのか知らなかったのである。
 「この水筒の中、一応熱いお茶なんだけど…それでもいいの?」
 「いいからちょっと貸してくれ。」
 らんまはかごめから水筒をもらうと、飲むのではなく、頭から中身をかぶった。
  <どぼぼ…>
 らんまの体格がみるみる変わる。
 「お…男になった……。」
 (犬夜叉が言ってた人ってこの人のことでしたか…。)
 (ふーん、乱馬くんって男に戻るときはそうやるんだ。犬夜叉よりはまだ自由があるわね。)
 (この人、男なんじゃろか、それとも女なんじゃろか。)
 (…俺よりまだマシじゃねーか。いつでも変われて。)
 「それよりおめー、誰だか知らねーけど、こいつなんか嫁にもらってもかわいくねえ、素直じゃねえ、色気もねえ、そして泳げねえし、料理は下手だし、すんごい不器用だし、おまけにずん胴…」
 「あんたはいつになっても……」
  <どっかん>
 「その言い方どうにかならないのっ!?」
 乱馬はあかねに思いっきり殴られ、ほぼ真上に空高く飛んでいった。
 (す、すごい……)
 (あの女、てーしたバカ力だな……)
 「あのー、もしかしてさっきの人が…」
 「はいっ、私の許嫁ですっ。」
 あかねは不満そうに答えた。
 (あの人の許嫁じゃったらあれは男じゃな。)
 七宝は空高く飛んでいく乱馬を見上げながらそう思った。

 (一応な……。)

 「…さっきから言いたかったんだけど、どうしてここにあかねちゃんと乱馬くんがいるの?」
 「えーと、それはね……」
 あかねは今までのことを話した。
 「へえ…不思議な鏡だね。」
 「あ、こちらからも言うけど、この人が弥勒様でこの人は珊瑚ちゃん。この子は七宝ちゃんって言うの。」
 「ふーん……で、ここは一体どこなわけ?」
 「ちょっと言いづらいんだけど…ここは…戦国時代なの。ほら、あの時話してた。」
 「戦国時代いっ!?」
 『ぶきーっ!?』
 (せ、戦国時代……乱馬、あんた一体どういう夢見てたのよっ。)

 (…俺、戦国時代となんかあったわけじゃねえのに……どうなってんだ?)

 「かごめ様、あかね様の話で思ったのですが、かごめ様がいる国はこことは違う時代なのですか?」
 「そう、私やあかねちゃん達がいる所はこの世界よりもずっと後の世界……」
 「ずっと後の…ですか。」
 「ところであかねちゃん、乱馬くんあんなに飛ばされて大丈夫なの?まだ落ちてこないんだけど。」
 「大丈夫よ、いつものことだから。」

 (確かにいつものことだがな…。)

 「さっきから思ってたんだけど、肩にいるのは何なの?」
 「あ、この子Pちゃんっていうの。かわいいでしょ。」
 『ぶ、ぶきっ』
 「黒いどーぶつ…?」
 「犬夜叉、この動物はブタって言うの。」
 「……にしてもこいつ、人間くせーな。」
 「え…?」
 『ぶき…!?』

 (やっぱあいつ犬だな…って、わわっ!)

 「おっ、おいっ、さっさと避けろっ!」
 「ん?」
  <ひゅるるる………ごきゅ>
 空から落ちてきた乱馬は、犬夜叉と頭同士ごっつんこ。
 「ててて……なにしやがるこの野郎!」
 「避けねぇてめえが悪いんだろーが!」
 「言うんだったらもっと早く言えっ!」
 「俺だったらちゃんと避けるぞっ!」
 その時、二人に何かが起こった。
  <ドクン……>
 「!?」
 乱馬と犬夜叉は急にびっくりしたように離れて、またお互いにらみ合う。
 「お、おい、なんだよ今のっ!」
 「んなの俺に聞かれたってわからねーよっ!」
 「ねえ、今何かあったの?」
 さっきのことを二人以外はわからないようだ。
 「…な、なんでもねーよ。」
 (ん…?あの現象は……)
 弥勒を除いて。
 (さっきのは何だったんだ?とりあえず、話変えなきゃな…)
 「あかね、ちょっとそのPちゃん貸せ。」
 「なんで?」
 「と、とにかくっ。で耳ふさいであっち向いてろ。」
 「いいけど……いじめちゃだめよ。」
 あかねは言われた通りにする。
 「あかねはこのこと知らねぇんだよなー……」
 Pちゃんには乱馬が何をしようとしているのかわかったようである。
 『ぶきーききっ』
 「ねえ、なんかこの子、いやがってない?」
 「かもしれねえな。」
 乱馬はさっきの水筒をいやがるPちゃんに無理矢理
  <ばしゃ>
 中身を全部かけた。
 「……………」
 人間に戻った良牙はどう反応して良いのかも分からず、ただかごめ達とは反対側の方を向いていた。
 「に……人間になった………」
 (すごい体質……。)
 (変態の次は半分黒いどーぶつかよ…。)
 「……つーわけでこいつは良牙。俺の友達だ。」
 「おい……友達だったらんなことばらすんじゃねーよっ!」
 「とっ。」
 良牙は乱馬を殴ろうとしたが、避けられる。
 「どっちにしろほとんどばれてたんじゃねえか。それととっとと服着ろ。」
 「ん……。」
 良牙は急いでリュックの中から服を出して着替える。
 (……さっきから一体どうなってんだ?ここに来てからさっぱりわからねえ……)
 この中で一番わけがわからないのは良牙だろう。この前の騒動も知らないし、この世界に来てからほとんどパニック状態なのだ。
 「…かごめちゃんのお友達って変わってるね。」
 「一回しか会ってないから私も詳しいことはちっともわかんないんだけど…良牙とかいう人とは初めてだし。」
 「ねぇ、さっきの声…良牙くん?」
 あかねがよそを向いたまま話しかけてきた。
 「え゛…。」
 さっきの良牙の声はあかねが耳をふさいでいても聞こえていたみたいである。
 「良牙くん、こんなとこにいるわけないと思うんだけど……」
 「いるんだよ、ここに。こいつ時間をも超えて迷子になってたらしいぜ。なっ。」
 「いくら俺が方向オンチでもそこまでいくわけねーだろ!」
 「そうか?」
 「そうだっ。」
 「あのー……」
 「ん?」
 かごめがおそるおそる乱馬に話しかけた。
 「乱馬くん、その水筒……返してくれない?」
 「あ、すっかり忘れてたぜ。」
 乱馬は水筒をかごめに返した。
 「あかね、もうこっち向いていいぞ。」
 言われてあかねは振り向く。すると本当に良牙がいた。
 「…良牙くん、本当に時間超えてここまで来ちゃったの?」
 「…………。」
 (あかねさんに何と言えばいいんだ…?俺がPちゃんだって事なんか言えねぇし……。)
 「そうだよなっ。」
 「あのなぁっ!」
 (あーもう、なんだかうっとうしいっ…)
 「………言っとくけどよー、別に俺は手伝う気なんかねーぞ。」
 何にイラついていたのか、急に犬夜叉がつんとした感じで乱馬に言った。
 「…ああ、俺も手伝ってもらう気なんかねーよっ!」
 「ちょ…ちょっと二人とも……」
 「……仕方ないわね。もし途中で拾ったらちゃんとあげるから。」
 「うん…。」
 こうして二組はそれぞれ別の方向へ行った……。

 (なんだったんだあれは…一瞬気分が悪くなっちまった……胸くそ悪いぜ。)
 (さっきのは一体なんだったんだ?…まるで俺の体が俺のじゃねえような感じだった……。)



 「ねえ、犬夜叉。あんたさー、乱馬くんとそんなに会っていないのにどうしてああいうこと言えるの?」
 (乱馬くんも乱馬くんだけどね…)
 「なんか知らねーけど、むかっとするんでいっ。」
 「おらあんな人間がいるだけで不思議じゃ。」
 「妖怪ではないけど普通の人間ではない……ですか。」
 「かごめちゃん、かごめちゃんの住んでいる国がここよりずっと後の時ってことは、骨喰いの井戸って……」
 「うん、そこが二つの時をつながらせているの。なんで私と犬夜叉しか通れないのはわからないけど…」
 (時…さっき二人の間に起こったのがあれだとすると……あの二人は………)
 犬夜叉と乱馬の関係に弥勒だけが気づきかけていた。


 「はあ、あかねが良牙のリュックを持ったまんまこっちにきただけ助かったぜ。」
 「あんたがネコ嫌いじゃなかったらこんなことにはならなかったんだけどねー。」
 「うっ、うるせーっ!…あれ?良牙はどこいったんだ?」
 「あ、良牙くんだったらさっき食料探しにあっちの森の中に入っていったわよ。」
  <どて>
 「乱馬…なんでこけてんの?」
 「あいつがんなことしたら絶対に迷子になるに決まってんだろーがっ!」
 「あ……」
 「「あ」じゃねーよ「あ」じゃ!」
 「リュックも持たないで行っちゃったしねぇ…。」
 「つーかあいつのことだからリュックの中に食い物入ってるんじゃねーのか?」
 「私は中見たことないから知らないけど…って乱馬、勝手に良牙くんのリュックあさっていいの?」
 「じゃあどーすりゃいいんだよ。」
 「…出したらちゃんと片づけてね。」



 「……こっこは一体どこなんだぁ―――っ!」
 やっぱり良牙は迷子になっていた……。

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進路希望調査の高校がどこのか全てわかった人はすごいと思います。これを調べるためだけに2時間ぐらいずっとるーみっく本読みあさっていた覚えが……(汗
乱馬たちを戦国時代へ行かせる(?)方法って他の所の小説を読んでいるといろいろできそうだったのですが、私はこれを思いつくのが精一杯だったり……(何
 ※南蛮ミラー……アニメらんまオリジナルの道具。もともとは女傑族の秘宝で、鏡の所に人が涙を流すと、その時に人が思っていた時と場所へ周りの人を巻き込んで移動するという物。ヒビが入っているのはアニメ一回目の時になびきが踏んづけてしまったから。でも、夢の中でとはいえ二回目の時はセロテープで直されてもちゃんと機能してたので、しっかり使えると思われる。


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