す〜ぱ〜るーみっく 〜とっても長いプロローグ〜(後)
(ちっ、あいつどうやら本当に打たれ強いらしーな。俺の蹴りでもそんなに効かねぇ。)
「おめー、そんな速さじゃ犬が相手でも取れねーぞっ!」
『なんだと、この小僧がっ。』
乱馬は逃げていた……わけではない。とりあえず、行き着いたところは風林館高校のグラウンドだった。
(こんなに体格が違う相手にやったことはねぇが、勝つにはそれしかねぇっ!)
「鬼さんこちらっ、四魂の玉はこっちっすよ!」
『えーい、ちょろちょろ動き回るなっ!』
あかねは近くの木の陰からその様子を見ていた。
(乱馬、本当に大丈夫かしら……。)
2分後。
「おい、そろそろ終わりにしようじゃねーかっ!」
『終わりぃ?降参するとでもいうのか。』
「降参するのはてめーのほうでいっ!くらえっ、飛竜昇天破!!」
<ドォォォン>
いきなり、ものすごい竜巻が起こった。鬼が竜巻に飲み込まれ、消えていくのが見えた。
(やったか……?)
乱馬は思った。
(飛竜昇天破……久しぶりに見たわ。)
あかねも木の後ろに隠れながら思った。
そのころ犬夜叉とかごめは、まあまあ近い所まで来ていた。しかし、そこら辺でちょろちょろ動き回っているばかり。
「だから、四魂のかけらの気配はどこからするんだ?」
「だからあっちからって言ってるでしょうがっ!」
「あっちからじゃわからねぇんだよっ!目印とかはねぇのかっ!」
「目印ったって……夜だからあまり見えないし……」
その時、気配のする方に竜巻が起こったのだった。
「あっ、犬夜叉っ!あの竜巻の中からするっ!」
「なにぃっ!?」
まだそこからは竜巻は糸のようにしか見えなかったが、犬夜叉はかごめをおぶりながらその場所へと急いで向かった。
話は乱馬に戻る。
竜巻が起こってから数十秒後、空からさっきの鬼が落ちてきた。普通の人間なら数分は飛んでいるのだが、やっぱり重かったのだろう。ただ、その後鬼は少しも動かなかった。
「ったく手間かけやがって。」
そう言いつつ、乱馬は鬼に近づいていった。もしも鬼がまた動くかもしれないと、注意をしつつ。しかし、
「でぇっ!?」
いきなり鬼の腕が動いた。乱馬はすぐに離れようとしたが、この時だけはかなり速く、すぐに乱馬をつかんだ。
『小僧、おとなしく四魂の玉を渡せぃ。』
「……だーれが渡すもんかぁっ!それに俺はもう小僧と言われるような年じゃねえっ!」
『ふん、だったらおまえの命も一緒にもらうか。』
鬼はOKサインを横にしたような感じで乱馬の首を絞め始めた。
「だぁっ、放せっ、こらあっ!」
乱馬は鬼の手首に蹴りを入れたが、全然効いてない。
『ふっ、冥土のみやげに言っておこう。我が名は鋭鬼。いろんなのを喰ってるが、人間を主に喰う。ただ、喰わんと体が小さく縮んでしまうんでね。ただし、喰えば喰うほど体は大きく、強くなる。限度はあるがな。』
「…………。」
『だがある日、ちょいと森に迷い込んでしまってね。子供ぐれぇの大きさにまでなってやっと出てこられたと思えば、ちょうどそこに巫女がいおって我は山寺の箱の中にに封印されてしもうた。しかし、その寺が誰もいなくなって廃寺になったのが運が良くてな。一週間前の風雨で札が取れて封印も解けた。後は四魂の玉さえ手に入れれば、何も喰わなくてもずっとこの体のまんまだ。……ま、おめぇは最後までこの話聞いてたかどうかは知らないが。』
「……聞いてるよっ。このままずっと話してる気か!?」
『…そうとでもするかな。』
(もう、だまって見てらんないわ。)
あかねは茂みの中から飛び出し、乱馬と鬼がいるところへ走っていった。
「あかね、どうしてここに……」
「何よ、心配してきたところのどこが悪いのよっ。」
『んー?さっきの娘か。ついでにこっちも喰おうとするか。』
「言っとくけどねぇ、私は食べてもおいしくなんかないのっ!」
「言っとくけどこいつ………ある意味で本当にうまくなんかねーぞ。」
「乱馬、あんたこういうときまでそんなこと言わないでよっ!」
あかねはそう言って、鬼の腹を蹴った。しかし、やっぱり効かない。そして、ケガしたところが痛むのか、動きもさっきより鈍い。
「おいあかね……とっとと逃げろ……」
『このアマ、なんかさっきよりも動きが鈍いなぁ。』
「誰が鈍いのよっ。あんたもそんなに…つー……」
『ま、どちらもうまそうだからさっさと喰うか。』
鬼はそう言ってあかねの方に手を伸ばしてきた。しかし、あかねの動きはさらに遅い。
(肩が痛い……)
鬼があかねに手を触れようとした、その時だった。
<ドスッ>
何かがあかねをつかもうとした鬼の腕に刺さった。
『でっ!』
鬼の腕は止まり、あかねは一応逃げられた。そして、反対側の腕の指もゆるみ、乱馬は地面に落っこちる。
「いててて…げほっ!」
「何?今の……ねえ、あの二人誰?」
あかねが指さす方向には、
「なんだー?あんなやつ相手に苦戦しやがって。」
「ちょっと犬夜叉、そんな言い方はないでしょっ。」
人間の犬夜叉とかごめがいた。もちろん、二組はお互い全くの知らない人。
「…どうなってんだ……?」
「けっ、おめーら誰かは知らねぇけどよ。助けてやってもいいが、かわりにその四魂のかけら渡しな。」
「はぁ?」
「渡さねぇとてめーらもぶっ殺すぞっ!」
「あんたがそう言うから余計怪しまれるんじゃないのっ。私が話すわ。」
「俺が話すんだっ、かごめは邪魔す…」
「おすわり。」
<どしゃ>
「ぐえっ。」
「……………?」
「はぁー……今から話すね。えーと…」
「あのー、悪いけど、今話してる暇ないみたい。」
「え?」
『こいつ、よくも四魂の玉を手に入れようとしたところを…』
鬼がさらに怒って乱馬たちの所へ向かってきたのだった。
「え、えと犬夜叉、ちょっと話ができるような所まで連れてって。」
「なんだよ、さっきあんなことしたくせに。」
「とにかく、連れてってっ。ねっ。」
「……わかったよ。またおぶされ、かごめ。」
「…ちょっと訳ありみたいね。」
「あー、話聞かないとなにがなんだかさっぱりわかからねーしな。あかね、走れるか?」
「肩と足は関係ないけど…痛い。」
「しゃーねーな、あかねもあいつみてぇに俺におぶされ。」
「……うん。」
乱馬はあかねを、犬夜叉はかごめをおぶって走っていった。鬼もそれを追いかけるが、圧倒的に乱馬と犬夜叉の方が速い。
行き着いたのは、どういうわけかかごめの中学校のグラウンド。
「ここまで来れば鬼が来るまで結構時間かかりそうだしな。」
「今度こそ、話すね。あのね………」
かごめはまず自分が戦国時代と行き来できること、それからそこで出会った犬夜叉のこと、四魂の玉のこと、そして自分たちがそのかけらを集めて旅をしていることを簡単に話した。しかし、犬夜叉が半妖だということだけは話さなかった。
「犬夜叉、なんでそんなこと秘密にしなきゃいけないのよ。」
かごめは犬夜叉の耳元で言う。
「うるせぇっ、俺はそういうこと知られるのが大っ嫌いなんでい。それになぁ、おまえ話しすぎだぞ。四魂の玉の説明だけでよかったんじゃねーか?」
「そ、そうかもしれないけど…」
「…えーと、じゃあ今度はなんでこっちがこんな事になってるのか話すね。」
あかねも、自分がそれを知らずに拾ってしまったこと、あのよくわからない鋭鬼のことを話した。
「……つまり、私があの時落としたかけらを、あかねちゃんが拾っちゃったのね……あ、年上に“ちゃん”じゃまずかったかなぁ。」
「いいの、無理して言わなくって。」
「でー…あの鬼どーすりゃいいんだ?」
「そりゃ倒す以外にねーだろ。」
「まぁそうなんだが…あいつめっちゃくちゃ打たれ強いんだよな。打たれ強いだけなんだけど。」
「…………。」
(ったく、こーゆー日でなかったらあの野郎俺の爪一発で倒せるっつーのに。)
「四魂のかけら、あかねちゃんじゃなくて乱馬くんの方が持ってるみたいだけど…」
「あ、そういえばそうだったわ。乱馬、さっさとかけら渡しなさいよ。」
「……ああ。」
乱馬が四魂のかけらをポケットから取り出そうとしたとき、
『こらぁ、何の話をしてるか知らんが、玉をよこせぇ。』
鬼がグラウンドまで来てしまった。
「ちっ、もう来やがったか。かごめ、おまえはその女の手当てでもしてな。四魂のかけらは俺が預かっとく。」
「えっ、犬夜叉、なんで?」
「あいつはかけらを狙ってんだ。おめーが持ってりゃそっちを襲うに決まってんだろ。……おい、さっさと四魂のかけら出しなっ!」
「……あいつがそれを狙ってんだったら、倒すまで俺が持ってていいか?」
「…おめー、さっき死にかけてたくせにまだやんのか?」
「ったりめーだぁっ!」
乱馬と犬夜叉は少し口論をしながら鬼の所へ向かった。
あかねとかごめは近くの木の陰にいる。
「あ、あかねちゃん、今そこに包帯巻くからちょっと待ってね。」
「……うん、ありがとう。」
(ん?あそこ、何か刺さってるな。)
乱馬は軽く飛んで鬼の腕の上に乗る。そこには、さっき犬夜叉が投げたと思われる錆びた刀が刺さっていた。つまり、変化していない鉄砕牙。
「おーい、このボロ刀返すぞ。」
そう言って乱馬は刀を抜くと、犬夜叉に向かって投げた。犬夜叉はそれを取ってさやに入れるが、乱馬が言った言葉にカチンときたようだ。
「おいっ、これのどこがボロ刀だっ!」
「どう見たってボロ刀じゃねーか。」
「これはボロ刀なんかじゃねぇっ!」
「ねぇ、なんか仲間割れしてない?」
「……みたいね。でも不思議。」
「なんで?」
「乱馬、あの犬夜叉とかいう人と初対面のはずなのに、まるで何度も出会った男友達と話してるみたいで……」
「そういわれてみると、犬夜叉もそうね。初めての人とだともう少しやさしいんだけどね……」
「かごめちゃん、それより…」
「なに?」
「巻き直してくれない?」
「……あ。」
かごめが包帯を巻いているところは、あかねの腕の三倍ほどもある太さになっていた……。
「今はボロ刀のことで争ってる場合じゃねーらしいなっ!」
「だからボロ刀って言うんじゃねぇーっ!!」
(あれから何時間たったんだろう……)
かごめは思った。もう東の空が明るくなっている。もうすぐ朝日が昇ってくる。朝日が昇れば犬夜叉は半妖に戻る。だが、犬夜叉が半妖であることは乱馬やあかねに話していない。半妖に戻ったとき、二人はどう反応するのか。そんな気がしてたまらなかった。
(くそー…他に方法はないのか!?)
これは、乱馬が思ったこと。
(しゃーねーな。もう少しで妖力が戻る。そうなったら一気にけりをつけるしかねぇっ!)
一方、これは犬夜叉が思ったこと。
はっきり言って、乱馬と犬夜叉はもうへとへとに疲れきっている。蹴ったり殴ったりしているのだが、相変わらず効かないのだ。たまに犬夜叉が変化してない鉄砕牙で斬りつけても、ちっとも斬れない。さっきのは単にものすごい勢いで投げただからだろう。鬼の方は少し縮んではいるが、まだまだ元気である。
「かごめちゃん、私…行く。」
「え?」
あかねとかごめはずっと乱馬と犬夜叉を見守っていた。そして、急にあかねが言った。
「行くってどこに……?」
「乱馬と犬夜叉っていう人のいるとこ。」
「ちょっ、ちょっと……」
「大丈夫。かごめちゃんのおかげでそんなにケガ痛くなくなったし。これでも私、戦えるの。」
「ちょっと、もう少し待って。もしかすると…」
「え、もしかすると何?」
「と、とにかくもう少し待って。」
朝日が昇ってきた。
(犬夜叉が…半妖に…戻る…。)
「おい。おめー…もうそこで見物してろ。」
「は?一人で倒せるっつーのか?」
「言っとくけどなっ、今の俺はもうさっきまでの俺じゃねえ。」
「へ…?」
犬夜叉の髪が銀色になっていく。そして、頭に犬のような耳が生え、目の色も変わっている。
(こいつ……変化している!?)
「覚悟しやがれ、このバカ鬼っ!」
『なんだとぉっ。』
鬼は犬夜叉に向かって腕を伸ばし、犬夜叉をつかもうとする。
「ふんっ、散魂鉄爪!」
<バキバキッ>
犬夜叉はその腕に爪をたて、そのまま腕を引き裂いた。鬼の片方の腕が、地面に落ちる。
「!?」
(あれは…人間ができるような技じゃねえ。)
乱馬は本当にただ見ているしかない。
(こいつ、俺の爪でも充分倒せるが……ついでに「ボロ刀」の威力でも見せるとするか。)
『そうか、おまえ……半妖か。』
鬼は引き裂かれた所をもう片方の腕で押さえながら、犬夜叉を睨む。
(半妖?半妖ってなんだ?)
「…まーな。」
犬夜叉はそう言ってさやから鉄砕牙を抜く。鉄砕牙はあの時の刀とは思えないような牙の形に変化する。
「今さらそれがどーしたってんだっ!!風の傷!!」
<ドガガガ……>
(な゛!?)
犬夜叉が振った鉄砕牙から光が鬼に向かってほとばしり、そのまま鬼を飲み込んでいく。乱馬には何が起こったのかさっぱりわからなかったが、その光が消えたとき、グラウンドには大きな爪跡がえぐられ、鬼の姿はどこにもなかった……。
「これ、アクセサリーか?」
犬夜叉の犬耳を引っ張ってみる乱馬。
「……なにすんでい。」
「ほ、本物…!?」
乱馬はさっきから犬夜叉のことを不思議に思っていた。本当に人間なのかと。
「…おまえ、半分犬か?名前も名前だけど。」
誰もが考えるようなことを乱馬は言ってみた。ただ、それはそれでほぼ当たっている。
「犬夜叉、半妖のこと言っていい?もう半分ばれてるんだし。」
犬耳のそばでかごめが言う。
「二度と会わねぇんだったらな。」
「うん……えーと、犬夜叉は半妖なの。半分妖怪で半分人間。あっ、でも別に悪い事するような人じゃないから。あと、ある時だけ本物の人間になっちゃうわけ。」
「ふーん…」
(半分妖怪ねえ……)
乱馬がそんなことを思っていると、あかねがとんでもないことを言いだした。
「どっか乱馬と似てるわね。」
(な゛っ…)
乱馬はあかねの言葉に少しむかついた。
「おっ、俺は妖怪じゃねーだろっ。」
「妖怪じゃないんだけどね……」
「似てるって、何のこと?」
「言わなくてもすぐにわかるわよ。ちょうど降ってきたし。」
「え……?」
<ザーーー………>
さっききれいな朝日が出ていた空のはずが、いつの間にか曇り、雨が降り始めた。
「………………。」
何も言えない乱馬。
「……女!?」
「そう、乱馬の場合は半分男で半分女なの。」
「…俺はれっきとした男でいっ。」
「男?これのどこが男だ。」
犬夜叉はらんまの胸をまじまじと見る。
「う、うるさいっ!それよりあかね!俺とこんな奴のどこが似てるんだよっ!」
「だから、ついさっき言ったことが。」
「犬夜叉、自分はあの人と似てると思う…かなぁ?」
今度はかごめの言葉に犬夜叉がむかっとくる。
「思うわけねーだろっ!」
「そ、そんなに怒ることないじゃない。ただ聞いてみただけで。」
「あの変態とどこが似てるんでいっ!」
<ぴく>
「おいっ、変態って誰のことだ、この半バケ。」
<ぴく>
「そっちこそ誰が半バケだ?」
「おめーのことに決まってんじゃねえかよ。」
「半バケって言うんじゃねえ、この変態野郎が!」
「だったらそっちこそ変態なんて言うんじゃねえ!」
「おすわり。」
<ずしゃ>
「んげぇっ。」
「乱馬、あんたもすぐむきにならないの。」
<ぱこっ>
「いててて……」
かごめが言った言葉に犬夜叉は地面に張り付き、乱馬はあかねに殴られてのびる。
「…やっと静かになったわね。」
「…これね、探してた四魂のかけら。はい。」
あかねはらんまのポケットから四魂のかけらを取り出すと、かごめに渡した。
「でも、いきなりあんな事言えるなんて、やっぱり不思議ね。」
「不思議ね…あっ、もうすぐ家に帰らないと、今日の学校また遅れちゃう。もう行くね。」
「うん。犬夜叉、起きてる?」
「……起きてるよ。四魂のかけら取り戻したみてーだからな、さっさと行くぞ、かごめ。」
「うん…じゃあ、さようならー。」
かごめは犬夜叉におぶさりながら言った。そして、去っていった。
「乱馬。早く起きなさいよ。さっきそれほど強く殴ってなかったじゃない。」
しかし、らんまはなかなか起きない。よく見てみると、それはあかねに殴られてのびているのではなく、ただ寝ているだけだった。それも安心しているかのように。
(そっか……一晩中闘ってたもんね。いつの間にか、私も眠い……)
あかねはそう思うと、らんまのおさげを持ち、ひきずって歩き始めた。
(そうっと…そうっと…)
<ずーるずーる……>
こんなんでらんまが起きないわけがない。
「いででででで!なにすんだ、あかね!」
「あれ、起きちゃった?そおっと歩いてたはずなのに。」
「……これで起きねー方が不思議だよ。」
らんまは背中を痛そうになでながら、あかねと一緒に帰っていった。
「今日、学校休んじゃおうかな……」
「は?何言ってんだよ?」
「こんなになって朝から疲れちゃったんだもん。一日くらいいいよね。乱馬も疲れたと思うし。」
「お、おまえがそういうのなら……」
「ほぉ……そんなことがあったのですか。」
「ったく、かごめのせいでとんでもねぇ目にあっちまったぜ。」
「にしても、世の中いろんな人がおるのう。」
「かごめ、言っとくけどな、俺はあんな奴とは絶対似てねえからなっ。」
「はいはい。って犬夜叉、あんたさっきから何回それ言ってんの。いつまでも根に持たないでちょうだい。」
「誰が根に持ってるんでいっ。俺はそんな奴じゃねーよ。」
(やっぱり根に持ってる……)
「あかね、どうしたのよそのケガ。」
「いやー…ちょっと…」
「確か前もあの時は家中しっかり戸締まりされてて入りにくかったんだけど、今度は道場と横の塀は壊れてるし、あかねはケガしてるし、今日の学校休んだって言うし……乱馬くん、何かあったの?」
「別にないよなー、あかね。」
「う……うん。」
「おねーちゃん、私隣町の中学校行ってくる。ほら、あのミステリーサークルができてるとこ。」
「いいわよ、なびき。」
「ミステリーサークル?」
「今朝いきなり謎の線ができたんだって。あ、でも円じゃなくて線だからミステリーラインか。」
「は………?」
「とにかく、今日はそこでそれを見せ物にして大もうけよっ!ランッラランッララーン…」
そう言ってなびきは出ていった。
「………………。」
(なびきおねえちゃん、すっごい考え方……)
(あれのことを知っているのは俺とあかねだけ、か……)
別に会いたいとは思っていなかった。
もう二度と会いたくないと思っていたのかもしれない。
しかし、またこの二組は出会ってしまう。
今度は思いも寄らない場所で、この事を知らないもう一人を巻き込んで……。
執筆(ほぼ)最終更新日:2002年9月25日
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2001年10月頃から書き始めて2008年3月にようやく終わった長編。何度か修正しているのに後の方と比べるとどこか変だなぁ……。
このプロローグはもともと一つの話だったのですが、読むとあまりにも多すぎるので二つに分けてみたり。原作から引用した部分がすごくあります。
なんとか原作犬夜叉が終わる前に終わらせましたが、正直最後はほぼ打ち切り状態ですごめんなさい。一応話の全ての流れは書いてます。
また、すごそうな題名の割にはらんまと犬夜叉以外の人物はあまり出てこないし……(汗