す〜ぱ〜るーみっく 〜とっても長いプロローグ〜(前)
「待ちやがれっ、かごめーーっ。」
「何よ、明日テストだし、その次の日は友達と約束があるのっ。」
骨食いの井戸に向かって走るかごめと、それを追いかける犬夜叉。相変わらず、ここに来るたびケンカをしている。
「テストテストって、もう少しで奈落の居場所がわかりそうなときに限って……」
「おすわりっ!」
「んでえっ!」
「とにかく、三日で帰ってくるからそれまで待っててね。」
かごめはそう言うと、骨食いの井戸の中へ入っていった。
「おーい、かごめはどこに行ったんじゃ?」
少し遅れて七宝、弥勒、珊瑚が走ってきた。
「あー、またあっちへ行っちまった。」
「まあまあ、久しぶりに休めるではないか。」
「ふんっ。」
犬夜叉は話しかけてきた弥勒にそっぽを向いた。
そして、テストの話はすっ飛ばしてその次の日。
「行ってきまーす。」
かごめは自転車に乗って友達の家へ向かった。行く時間はそれほどかからない。
普通に自転車をこいでいたときだ。
<どたたた……>
「ん?」
何か後ろから走ってくるような音がした。かごめが振り向こうとしたとたん、
「シャンプーーっ、いいかげんにおらと結婚してくれーっ!」
「ムース、しつこいあるね。そっちこそいいかげんに私のことあきらめるよろしっ。」
<ぶぎゅる>
「きゃっ!」
<ガッシャーン>
いきなり知らない二人に頭を踏まれ、自転車ごとかごめは転んでしまった。
「シャンプー、今何か踏まなかっただか?」
「気のせいあるね。」
「ちょっと、なにすんのよーっ。」
かごめは走り去っていく二人に向かって叫んだが、二人には聞こえていないようだった。かごめは知らないが、あの二人がシャンプーとムースであるのは言うまでもない。
「………もうっ。」
さっき転んだときに、持っていた手さげカバンの中身が飛び散っていた。かごめはそれをさっさと適当にカバンの中に詰め込むと、急いで自転車をこいでいった。
「早く行かなきゃっ。」
その時、かごめは知らなかった。かごめは四魂のかけらの入っていたビンはカバンの中に入れたのだが、そのビンのふたが取れていたことを。そして、中のかけらは道路に散らばっていた……。
かごめが去ってから約十五分後。
乱馬とあかねがてくてくと歩いてきた。
「あーあ、何で俺が買い物につきあわなくちゃいけねーんだよ。」
「いいじゃないの、ちょっとぐらい。」
そう言っているとき、向こうから九能が走ってきた。
「早乙女乱馬、覚悟――――っ。」
「よっ、センパイ。」
<みし……>
乱馬は走ってきた九能をそのまま踏みつけ、またそのままあかねと歩いていった。
「……九能先輩も相変わらずね。」
「ったく、いつもしつこいぜ。」
「ところで乱馬、あんた宿題まだ半分も終わってないのにどうするのよ?」
「そんなの別に格闘とは何の関係もねえし、それに……」
「あ、いい物みっけ。」
「あかね、聞いてんのかこらっ。」
あかねは何かを拾っているようだった。
「この石、結構きれいだと思わない?」
その石は細長く、手のひらに入る大きさで、まるでガラスの破片のように先がとんがっている。色は薄いピンク色の様な色だ。
「どこが。ただそこら辺にあっただけじゃねーか。」
「そうかなあ………でも私はきれいだと思うわ。これ、家に持って帰っていい?」
「……別に気に入ってるんだったらいいけどな。」
そう言ってあかねは拾った石を家に持って帰っていった。
しかし、実はあかねが拾ったのは四魂のかけらだったのだ。もちろん、二人は四魂の玉の存在すら知らない。
そのころかごめは、
「ねー、あの二股かけてるくせにヤキモチ焼きで乱暴でわがままな男との仲どうなってんの?」
「んーと、結構いい……のかな?」
四魂のかけらのことは全然気にしていなかった。
で、ここは天道道場。
「うーーーむ、最近また乱馬とあかねがあまり仲が良くなくなってきたのだが、どうしたらいいんかねぇ、天道くん。」
「とりあえず、買い物には二人で行かせたんだけどねぇ、早乙女くん。」
「ねえ、また二人きりにしてみたらどう?」
二人の話になびきが割りこむ。
「ほら、かなり前のことだけどさぁ、確かあかねが風邪気味だったときに偶然乱馬くんと二人きりになって、なぜかその次の日結構仲良かったじゃない。だから、またそうしてみれば……」
「でも、私は明日ちょっといろいろ家事とかやらなくちゃいけないんだけど…。」
「しかたないわねー、おねーちゃん。だったらあさってでもいいわよ。」
「じゃあ、あさっての夜に乱馬とあかねを二人きりにするんだね。」
「そゆこと。」
(私的には乱馬くんとあかねの仲そんなに悪くなってきているような気がしないけどなー。ケンカするほど仲がいいって言うし。)
そんな話し合いをしているとき、
「ただいまー。」
「おとーさん、何話しあってたの?」
乱馬とあかねが帰ってきた。
「いや、ちょっといろいろなぁー、早乙女くん。」
「そうそう、天道くん。」
「ふーん……。」
その日の夜。どこかの山中。
その森の中を何かが走っていた。
『やっとこの森から抜けられる………しかもこの匂いはまさしく四魂の玉………嬉しい…未だこの世に四魂の玉があろうとは……しかし、この体では何も出来ぬ…もっと強い体を手に入れねば……』
それは、わずか50〜60センチほどの小さな鬼であった。
次の日。
「じゃあ、行ってくるね。」
「ねーちゃん、またすごい荷物だね。」
「仕方ないのっ。」
そう言って、かごめは井戸の中へと入っていった。まだ四魂のかけらを拾い忘れていることには気づかないまま……。
また、この日のニュースで。
『………村で一家殺人事件が起こりました。家の中は血の海が広がり、なぜか死体が首しか残っていなく、そこから下が残っていないという全く無惨な様子で……』
乱馬やあかねはこのニュースを朝食を食べながら見ていたが、全く気にしていなかった。かすみが
「まあ、すごいわねぇ。」
というだけだった。
最近は凶悪犯罪が増えているため、そうなのかもしれない。しかし、実はこの事件、あの小さな鬼がやったのだ。そして、その鬼は天道道場へ向かっているのだった……。
昼をすっ飛ばして、またその日の夜。
「おやすみなさーい。」
あかねは普通に自分の部屋に行った。あの時拾った石は、プラスチックのケースに入れられ、机の中にしまってある。その石が四魂のかけらであることをあかねは知らない。
2時間後。
「あれ、もうこんな時間!?。普通もう私寝てる時間じゃない。さっさと寝なくちゃ。」
部屋の電気を消し、寝ようとしたその時だ。
『…四魂の玉はここかぁ〜?』
窓が割れたと思ったとたん、暗くてよく見えないがそこから鬼なのか人なのかよくわからないような何かが顔をのぞかせていた。
「なっ、なんなのよーっ。」
あかねはその何かを思いきりはたいた。しかし、何かは今のが何でもなかったかのように体を乗り上げ、部屋に入ろうとしてきた。その大きさは2メートルほどである。
「ちょっとあんた誰なのよっ!」
そのころ、偶然乱馬はトイレに行くため起きていた。そして、あかねの部屋が騒がしいのが不思議に思い、そこに向かった。
(……この音、いつもの寝相で壁を蹴ったりしてる音よりすげーな。なんかやってんのか?)
あかねの部屋には、よく見えないが何かがいた。そして、あかねはすっかり固まっている。
『四魂の玉は…どこだぁ〜…?』
何かが机を開けようとしたとき、
「なんなんだ、てめーは。」
その後ろから声がした。何かが少しびっくりしてふりむくと、そこには乱馬がいた。
『四魂の玉をよこせ〜っ。よこさねぇと殺すぞ〜っ。』
「四魂の玉ぁ?なんだそりゃ?それより、何であかねの部屋に入ってるんだ、てめーはっ!」
乱馬はその何かに思いきり蹴りを入れた。
<ドカ……>
普通の人間なら空高く飛ばされているはずである。なのに、この何かは少しよろめくだけだった。
『く………こいつやるな。今日はこれで去ろう。次の夜は命はないと思え。だが、四魂の玉を渡せば命だけは助けてやろう。明日の夜までに考えておくことだな……。』
何かは、そう言うと去っていった。
「おい、あかね。いつまで固まってんだよ。四魂の玉って一体なんだよ。」
「………んなの私に聞かれたってわかんないわよ。ただね、あの変なのがいきなり入って来て……って乱馬、なんで私の机あさってんのよ。」
「……四魂の玉ってこれのことじゃねーのか?ひょっとして。」
そう言って乱馬があかねに見せた物は、あかねが昨日拾った石だった。
「ちょっと、そんなわけないでしょっ。」
「証拠は?」
「……………。」
「ねーだろーが。」
「……明日お父さんに聞いてみるっ!」
あかねはそう言うと、四魂のかけら?を机の中にしまい、寝てしまった。
(ったく……聞いてもわからねーと思うけどなぁ……)
乱馬はそう思いながら自分の寝る部屋へ歩いていった。
朝になった。
「ねぇ、お父さん。四魂の玉って知ってる?」
「四魂の玉?確かそれは、妖怪が体内に取り込むことで妖力が強くなると言う妖しの玉。昔、ある巫女がその玉を妖怪などから守っていたが、その巫女が死んで以来、行方不明になったらしい……何か話でもあるのかね?」
「これ、四魂の玉なのかなと思って。」
あかねは、おととい拾った石を早雲に見せた。
「うーむ、玉といったら球形をしているはずだが。しかし、ある一説によるとその後四魂の玉は砕け散ったとか言うし、どちらとも言いきれんな。」
「ねーあかね。それより、今日乱馬くんとあかね以外みんな旅行に行っちゃうんだけど、ちゃんとお留守番してね。」
「え、なんでいきなり……?」
「ま、ちゃんと留守番しててね。一時間後にはあんたたち二人以外いないんだから。」
ちなみにこの日、隣の町で5件もこの前と似たような殺人事件があったのだが、今日はテレビをつけていなくて、誰も知らなかった。また、この事件も、あかねの部屋に来たのも、あの鬼なのだ。
で、乱馬とあかね、二人きりになってしまった後。
「結局どっちかわからなかったじゃねーか。」
「何言ってんの。もしこれが本物だったら、昨日来たのは四魂の玉を狙ってきた妖怪だったことになるじゃない。」
「え?まだそれって決まった訳じゃ……」
「じゃあ、なぜあんた昨日それが四魂の玉だって思ったの?」
「いや、ただてきとーに言ってみただけで……。」
「そう……。」
あかねは下を向いてしまった。
(ん……?めずらしくあかねが落ち込んでいるなあ……。)
「…ずん胴。」
乱馬はあかねの耳元で言った。
「かわいくねえ、カナヅチ女、色気がねえ、不器用、怪力お…」
<ぴきぴきぴき……>
「あんたは一体…」
<どがしゃーん>
「何が言いたいのよっ!」
乱馬はあかねに思いきり殴られ、空高く飛んでいった。
「よっ、結構元気出たじゃねーか。その調子じゃどんな妖怪でも倒せるぞっ。妖怪退治は武道家のつとめでいっ。」
しかし、乱馬は飛ばされながらもその顔は笑っていた。
(わかったわよ。あんな奴、私一人で倒すんだからっ。)
4時頃。犬夜叉一行、どっかの草原でのこと。
「犬夜叉ーっ、ちょっと遅くなったけどおやついる?」
「いらねーよ、そんなもん。」
「あっ、オラはいるっ!」
「にしても、ここはのどかですねぇ。」
かごめがリュックからポテトチップスを出そうとしたとき、無理やりいろんな物を詰め込んでいたせいか、他の物まで飛び出してしまった。
「きゃっ、もうっ。」
かごめは急いで出てきた物をリュックに入れた。珊瑚もそれを手伝っていたが、あることに気がついた。
「かごめちゃん、これ……かけら入ってないよ。」
「え……?そんなわけないでしょ。」
「だって、ほら。」
確かに、四魂のかけらが入っていたビンに一つもかけらが入っていない。ふたも取れている。
「リュックの中に紛れ込んだかなぁ……?」
かごめはリュックの中をひっくり返してまで調べたが、かけらはどこにもなかった。周りでかけらの気配もない。
「うそっ、ない!」
「なに〜ぃっ!?おめーどこで落とした!?」
「え…えと…こっち来てから落とした覚えないし……あ、あっちの世界の方で転んだときがあるんだけど、その時に落としたのかも。」
「なんだと―――っ!?こっからあの井戸までどのくらい時間かかると思ってんだっ!いくぞ、かごめっ!」
「あ……うん。」
「てめーらはそこで待ってろ!」
「いいの?骨食いの井戸まで一緒に行かなくて。」
「あこは俺とかごめしか通れねぇから足手まといになるだけでいっ!」
どうやらやっと四魂のかけらを落としていたのに気がついたらしい。かごめは自転車で、犬夜叉は走って骨食いの井戸へ向かった。
「…法師さま、言われてみれば、今夜は朔の日だよ。」
「人間の姿を見られたくないのと、出来るだけ早く戻ってきたいと言うことですか。」
「あと、法師さまがその間にスケベなことをしないかと。」
「へ?」
「それはオラが見ているから安全じゃ。」
「…………」
夜の7時頃。
天道道場にはあかねしかいなかった。乱馬はなぜかあの時あかねに殴り飛ばされてからまだ帰ってきていないのだ。
あかねはポケットの中に四魂のかけらを入れた。そして、道場で妖怪が来るのを待っていた。
そのころ乱馬は、ゆっくりと道を歩いていた。
(はぁーっ、ついてねーな、今日は。)
本当にこの日乱馬はついていなかった。
あの時、あかねに殴り飛ばされてから落っこちてきたところがどういうわけか「猫飯店」の中だった。そこで、シャンプーに「乱馬、私のために飛んできたあるね。」と誤解され、キスされそうになった。そこにムースが来たため、キスされなくてすんだのだが、ムースに「おのれ、シャンプーを誘惑しおって!」とまた誤解され、戦うはめに。とりあえず勝ち、帰ろうとしたとたん、ばったりと小太刀に出会い、しびれ薬でむりやり九能家に連れてこられてしまう。そこに九能もいたりして、乱馬は抜け出すために女になったり男になったりとにかくハチャメチャな目に遭い、やっと脱出できたところでもう夜なのだった。
(ま、これでやっと帰れるな。あんな妖怪絶対にぶちのめしてやるっ!)
そう思いながら道場へ歩いていっている途中だった。もう夜になっているのに急がないのは、昨日妖怪らしき物が来たのがもっと夜が更けてだったからなのだが……。
「ねえ……あんた本当に昨日の妖怪……なの?」
『ふふ………そうだ……』
すでに妖怪は来ていた。しかも、あかねは少し動揺していた。というのも、昨日と全然姿が違う。まず体がとても大きく、頭が道場から飛び出し、上に顔を出している。そして、昨日は暗くて見えなかったところがよく見えているので、それもあるかもしれない。体つきは鬼に似ていて、爪や目つきはとても鋭い。頭は狼のような顔で、耳が角のように細長く飛び出ている。
「と、とにかく、四魂の玉は絶対に渡さないわよ。」
『……だったら、腕ずくで取るしかないか。言っておくが、我は女にも手加減はせん。』
「のぞむところよっ。」
で、乱馬が来る前に闘いが始まった。鬼の拳が何度もあかねに向かってくるが、あかねはそれを簡単に避ける。
(こいつ、姿はでかいけど、そんなに動きは速くないようね。)
「でやーっ!」
<ドカ>
あかねは思いきり鬼の腹を蹴りつけた。だが、鬼は全然痛そうもなく、あかねに向かってきた。
『なんだ?全然痛くないではないか。』
「くっ……。」
その後、あかねは何度も鬼の腕を避けては攻撃したが、ちっとも鬼には効いてないようだった。そして、道場の隅に追いやられてしまった。
(こうなったら、場外乱闘しかないわね…)
「てーいっ!」
<バキィ>
あかねは、道場の壁を壊して外へ出た。鬼もあかねを追い、道場を半壊させて外へ出た。あかねはたまに蹴ったり殴ったりしたが、ほとんど鬼の攻撃から逃げていた。そして、そうしているうちに、だんだん家から離れていってしまった。時間がたつにつれ、あかねは少しずつ疲れてきた。そして、
「きゃっ!」
石につまづいて転んでしまった。これを鬼が見逃すわけがない。鬼はあかねの頭めがけてひっかいた。
<ザン>
あかねはかろうじで避けたが、肩にケガをしてしまった。
「こんなので、負けるもんですか……」
それでもあかねは立ち上がり、闘い続けるのであった。
そのころ乱馬は、普通に道場へ歩いていた。もう妖怪が来ているのは知らずに。
その時、一つずれた道の方から、あかねのような声が聞こえてきた。
「たあっ!………でいっ!」
(あかね……!?)
そして、聞こえる方に行って乱馬が見たのは、昨日見たのとは全然姿が違っている鬼と、それに押され気味になっているあかねだった。
「よっ、結局やられてんじゃねーか。」
鬼の腕を避けながら乱馬が言った。
「なによ、別に助けてなんて言ってないじゃない。」
「じゃあ、おめーだけで倒せるのか?」
乱馬はあかねの肩の傷をつついた。
「つっ……わかったわよ。これ本当に四魂のかけらみたい。早く入れて。」
あかねは自分のポケットからかけらを出すと、急いで乱馬のポケットに入れた。
「あかね、おめーは一人で逃げてろ。あいつは俺が片づける。」
乱馬はそう言うと、一人でどこかに行った。
「おーい、今度は俺が相手だぜっ。」
鬼もそれを追っていった。
あかねは最初家に向かって帰っていたが、玄関の前で立ち止まり、再びさっきの所へ走り始めた。
(心配しなくていいのに。あの鬼、本っ当に強いんだから。こっちが心配しちゃうじゃない……)
そのころ犬夜叉とかごめは、やっと骨食いの井戸に着いた。
「おいかごめ!おせーじゃねーかっ!こんなに待たせやがって!」
「仕方ないじゃない、ここに来るまですっごい坂道だったんだから……。」
「ったく、こういう日に限って忘れてきやがって。」
「え……?」
犬夜叉の銀色の髪が黒く染まっている。犬耳もなく、さっき叫んだとき牙も見えなかった。空を見上げると、星はたくさん光り輝いているのに月がどこにも見あたらない。
(今日って、朔の日……!?)
「とにかく、行くぞ、かごめっ。」
「うん……。」
人間の犬夜叉とかごめは、井戸の中へ飛び込んでいった。そして、外に出ると、そこには現代の世界が広がっていた。ただ、月はやはりどこにも見あたらないまま……。
「で、おめーはどこらへんで落としたんだ。」
「えーと……口では言いにくいから、私が道案内するでいい?」
「おめーの足じゃおせーからな、おぶされ、かごめ。」
「うん。…まず、そこの鳥居を出てから右に行って。」
「で…次はどこでどうすりゃいいんだ?」
「あそこで左に行って…って犬夜叉、行きすぎっ!」
「あー?どこで曲がるんだよ、どこでっ!」
「その四角い看板のとこっ!で、そしたらすぐ右!」
「うるせーな、何でおまえの世界はこんなに道がいっぱいあるんだよっ。」
「そんなことはどうでもいいから……ってそこで右!!」
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