す〜ぱ〜るーみっく 〜本気で対戦!?乱馬VS犬夜叉(前)〜
「何ぃ!?あいつがまた逃げたぁ!?」
それは乱馬たちが現代に戻ってきてからおよそ一ヶ月。やっと普段の生活に戻ってきている時だった。それを聞いた乱馬、玄馬、早雲の三人は現場へ急行。
で、あいつとは……邪悪の鬼のこと。一回目はてんやわんやの末にやっと封印し、底が抜けたという二回目は神主が自力でなんとか封印した。その升は、きちんと神棚の上に置かれてあったはずなのだが……。
「今朝、地震があったでしょう?どうやらそれで棚から升が落ちてしまってらしく、私が見つけた時にはこの通り……」
封印の升は棚の下でバラバラに壊れていた。
「親父、地震なんかあったか?」
「確かわしが起きて間もない時に、少し揺れたかのう。おまえはまだ寝ていたような気がするがな。」
「って……これだけで升がこんなんなるのかぁ?」
「何しろこれは千年前の升でして、前回抜けた底をセロハンテープでくっつけただけですので……」
<みしっ>
「とっとと新しい升にすればよかったんじゃねーか。」
乱馬は神主の頭を一発殴ってそう言った。
「とにかく、早く探さないと大変じゃ。」
「確かに、前回のようにかすみなどに取り憑いたら……」
三人が外に出ようとした時、神主が呼び止めた。
「あ、ちょっと待って下さい。今回は私も少しはお役に立てばと思いまして、これを作っておきました。」
そう言って神主が出したのは、何百枚はあろうかという豆と書かれた札の束。
「こ、こんなにいるかどうかはわからねぇが……とりあえずもらっとくぜ。」
で、外に出たとたん、いきなり九能がいた。頭に鬼の角をつけて。
「なぜだ……なぜかこの僕に悪の衝動が突き上がってくる。……早乙女乱馬、覚悟――!!」
「わ!?」
いきなり乱馬に攻撃をしかける九能。だが、勝敗は明らかで……。
「いきなりくんじゃねえ!!」
<どっかん>
簡単に九能は乱馬に殴り飛ばされたのだった。
「あぁ、せっかくいたのに……!」
「捕まえればいいんだろーが。」
この後、かすみ、良牙、玄馬と鬼は取り憑いていったのだが、豆の札を貼ったり殴り飛ばしたりして離した。そこまではよかったのだが……。
「乱馬、殴るんだったらもう少し力抑えなさいよ。」
「なんか見てると思いっきりぶっ飛ばしたくなるんだよ。」
いつの間にか一緒に来たあかねと共に、乱馬は玄馬が飛んでいった方へと走っていった……。
「だから、あんたは来なくていいって言ってるじゃない。」
「信用できねぇんだよ。四魂のかけら落としたこともあるしな。」
こちらは犬耳を帽子で隠した犬夜叉と、かごめ。道をてくてく歩いている。
「それはもうしないから……この前の三日間だって何もなかったじゃないの。今回はあんたの好きなカップ麺買ってくるだけだし。」
「んなこと言って、妖怪が出てきても知らねぇぞ?森とかかなりいるしな。」
「誰も森になんか行かないわよ。そりゃあ確かに横にある森は結構深いけど……」
かごめはそう言って森の方を向く。この道、片側は普通の住宅が建ち並んでいるが、もう片側はちょっとした山。かなりの木が生えている。
「別に妖怪の臭いなんかしないでしょ?」
「まぁな……」
犬夜叉がそう言いかけたところで、犬夜叉の鼻がピクッと動いた。
「……いや、いるぜ。」
「え?」
「森じゃなくて、上からだけどな。」
犬夜叉はそう言って空を見上げる。つられてかごめも見上げると、確かに何かが落ちてくる。どう見ても人間のシルエットではないが……。
「へっ、あんなのとっとと引き裂いて……!」
「待って、犬夜叉!」
「なんだよ?」
会話の間に、その何かがズンという大きな音を立てて二人の目の前に落っこちてきた。
「これ……パンダよ。うん、パンダだわ。」
「ぱんだぁ?」
「犬夜叉は知らないと思うけど、これは妖怪じゃないの。」
パンダは少しも動かない。気絶しているらしい。
(でも、なんでパンダが空から落ちてきたんだろう……?)
「……やっぱり、妖怪いるぜ。」
「だから、これは妖怪なんかじゃ……!」
「そっちじゃねえよ。」
再び犬夜叉は空を見上げる。
(今度こそ何かが来やがる……)
「もう……こんなに遠くまで飛ばさなくてもいいのに。」
まだ鬼を追いかけている乱馬とあかね。そこに、遠くから聞き覚えのある声が。
「散魂鉄……」
「おすわ……」
(ん゛!?)
そこからはまだ結構距離があったはずなのだが……
<キュイン>
「り!」
<ぐしゃ>
「な゛!?」
いきなり、乱馬は全身を地面にたたきつけられた。
「って……いきなり何すんだよ!?」
乱馬は最初、あかねが殴り倒したのかと思った。が、そう言ってがばっと起きあがってみると、そこにいたのは……かごめと邪悪の鬼。そばには気絶したパンダ姿の玄馬。
「確かに妖怪みたいだけど……この子、そんなに悪い子じゃないみたいだし、かわいいわよ。」
ふと自分の服を見ると、チャイナ服ではなく赤い衣。
(……犬夜叉と入れ替わったのか!)
どうやら現代では、戦国よりも遠い距離で魂結合が起きてしまうらしい。かごめが気づいていないのは、そばに自分、つまり乱馬の姿が見えないことと丁度おすわりを言った直後で景色が揺れたのがそのせいだと思ったからであろう。
(とりあえずすぐに戻るから、ばれねぇように……)
「確かに見た目はかわいいだろうけどなぁ……かわいいからって悪くねぇとは限らないぞ?」
そう言って乱馬はかごめから鬼を取り上げようとしたが、
「だめ。」
……かごめは邪悪の鬼を抱きしめる。
「どう見ても悪くなんかないわよ。全然私たちを襲おうとしないし。」
「爪!」
<ビュッ>
「………な゛!?」
犬夜叉は一瞬、自分がどうなったのかよくわからなかった。なんせ、自分が攻撃しようと思った鬼の姿はどこにも見あたらず、自分の腕が宙を裂いただけ。おまけにその手には爪がなく、服も自分が着ている物ではない。
「乱馬、いきなり何やってんの?」
そして、隣にいるのはかごめではなく、あかね。
(まさか……またあいつと入れ替わったのかよ!?)
犬夜叉はそう思って周りを見回したが、大抵いるはずの自分の姿は見えない。
(……どうなってやがるんだ!?)
「乱馬、つっ立ってないで早く行きましょうよ。あの鬼また誰かに取り憑くかもしれないし……」
あかねは魂結合に気づいてないらしい。
「鬼って……あの丸っこい野郎か?」
「……今更何言ってるのよ。」
(………!)
犬夜叉の姿の乱馬は気づいた。さっきからかごめになついているような邪悪の鬼が、実は何度もかごめに取り憑こうとしていることに。しかし、なぜかかごめの体には跳ね返されているのだ。
(どうしてなんだ……?)
それがかごめの持つ霊力のためであることは、乱馬もかごめも知らない。
「ねえ、犬夜叉も抱いてみる?いじめちゃ駄目だからねっ。」
「え?あ、あぁ……」
なんとなく、言われるがままにかごめの手から邪悪の鬼を受け取る。
その瞬間、自分の手の中から鬼の姿がすっと消えた。
(え゛?)
そして、目の前がだんだん暗くなってくる。体の自由も利かない。
(……な゛……!?)
完全に目の前が闇に沈むかと思った時……
<キュウッ>
「……え……?」
急に目の前が元に戻った。体も普通に動く。隣には不思議そうに様子を見るあかね。
(どうやら、元に戻ったみたいだな……でも、今までにあんな戻り方はなかったぞ?)
「……乱馬、まさかあんたが鬼に取り憑かれてたりしてないでしょーね?」
「何言ってんだよ。俺の頭に角なんか生えてねーだろ。」
「そりゃそうだけど、あんたいきなり変なこと言い始めたから……」
(あの半バケ……俺と入れ替わっている間に何してやがったんだ。って、―――!?)
その時、乱馬はとんでもないことに気づいた。
自分が変になったのは邪悪の鬼が手の上で消えてから。そして、今の自分は特に何の問題もない。
ということは。
「やべぇ!!」
乱馬はだっと、鬼を追いかけていた方へ再び全速力で走り出した。
「こ、今度は何なのよ!?」
遅れてあかねも後を行く。
「あれ?あの子どこにいっちゃったんだろう?」
犬夜叉のそばをうろうろ探すかごめ。
「ま、どっか行っちまったんだろうな。それよりもかごめ。」
「なに?」
「おまえ、ちゃんと四魂のかけら持ってるよな?」
「当たり前よ。」
「なら出してみろよ。この前みたいに箱だけじゃあとんでもねぇからな。」
「もう、しつこいわねぇ……」
そう言いつつ、かごめはカバンの中から四魂のかけらの入ったビンを取り出す。
「ほら、ちゃんと入っているわよ。」
「そうだな……それ、俺にくれねぇか?おまえが持ってると危なっかしいからな。」
「それはこっちのセリフよ。あんたが持ったら……」
かごめがそう言いかけた時、
「へぇ、わかっているじゃねえか。」
「へ……?」
普段の犬夜叉なら絶対言わないようなセリフが聞こえてきた。
「俺がそれを使って本物の妖怪になるって事だよ。今ちょっと悪の衝動が突き上げてきてな……」
「い、犬夜叉、あんた何言って……」
「だから、とっととそのかけらよこしな。」
「ちょ、ちょっと……」
「いいからさっさとよこせ!!」
まるで奈落にでも向けているような犬夜叉の表情に、かごめは少し後退りする。
いや、それとはまた少し違う。少し笑っているような感じがする。そう……かごめと出会ったばかりの頃の犬夜叉のような感じだ。
(犬夜叉……どうしちゃったの。)
もちろん、こういう時はあの言葉を言えば簡単に抑えられるはずである。しかし……かごめはこの時、今までで一番と言ってもいいくらいの大きな恐怖を感じていた。体が細かく震える。
(こ、声……出ない……)
「けっ、そんなにやりたくねぇのなら……ぶんどるしかねーなっ!!」
そう言って犬夜叉はかごめの手に持っているかけらへと手を伸ばす。思わずかごめは目をつぶった。その瞬間、手の中のかけらのビンが無くなる感触がした。
(犬夜叉―――!?)
「てめぇ……そのかけら渡しな。」
「はいそうですかってできるわけないだろ。」
(え……?)
かごめが再び目を開けると、そこには犬夜叉と……なぜか乱馬の姿。乱馬がかけらの入ったビンを持っているところを見ると、どうやらさっきかごめの手に触れたのは犬夜叉ではなく、乱馬らしい。
「かごめ……これはしばらく俺が預かる。今は説明しているヒマはねぇ。」
「へっ、何えらそーなこと言ってるんでいっ!」
「おおっと!」
乱馬は犬夜叉の爪をさっと避けると、
「早乙女流奥義……敵前大逆走!!」
<だだっ がさがさがさ……>
まっしぐらに森の中へ行ってしまった。
「て、てめぇ、待ちやがれ――っ!!」
すぐに犬夜叉も後を追って森の中へ消えていく。
「!?」
その時、かごめは気づいた。さっきまでは帽子に隠れてわからなかったのだが……犬夜叉の後ろ姿で、犬耳の後ろにどういうわけか鬼のような角が生えているのだ。
かごめの前に残ったのは……犬夜叉がかぶっていた帽子と、なぜか升。仕方なくかごめはそれらを拾う。
「か……かごめちゃん!」
そこへ、あかねが走ってきた。
「あ、あかねちゃん……」
かごめは、その場へ座り込む。
「かごめちゃん……この辺で乱馬見なかった?」
「見たわ……見たけど……」
しばらくかごめはふるふると震えていたが、
「教えて!一体何がどうなっているの!?」
そう言ってあかねの膝にしがみついた。まるで男に助けを求める女のように。
「え、えと……ここで何があったの……?」
(くっ……全速力で走ってねぇと追いつかれる!)
乱馬は森の中をざざざざ走り、そのすぐ後を犬夜叉が追いかける。
実は、乱馬は最初はこういう展開になるとは思っていなかったのだ。あの時、乱馬は犬夜叉をぶん殴って出てきた鬼をすぐに封印するつもりだった。
(もう少し気づいてなければ殴られたってのに……体勢崩して升落としちまったし。)
そして犬夜叉が後ろへ飛び退いた後、乱馬はかごめが身をすくめながらかけらのビンを握っているのを見、犬夜叉がかけらを狙っていることに気づいた。そして今に至るのである。
「散魂鉄爪!!」
「わっ!?」
いきなり後ろから猛ダッシュで来た犬夜叉の爪を乱馬は紙一重の差で避けるが、その風圧で近くの木に体をぶつけた。
「へぇ……俺の爪を避けるとは、てめぇやっぱり普通の人間じゃねえな。」
「……………。」
触れてもいないはずなのに、チャイナ服の肩の辺りがカッターで切った時のように裂けていた。
(こりゃ本気で行かねぇと命はねぇな……)
「い……犬夜叉に鬼の角!?」
「うん、確かに見たの。あの丸い鬼の姿がいなくなってから何かおかしくなって……」
「かごめちゃん、その丸い鬼だけど……今の犬夜叉は、その鬼に取り憑かれているの。」
「えぇ!?」
「で、鬼は取り憑いた人を邪悪な行為へ導くらしいんだけど……」
「……ありがとう、あかねちゃん。やっとわかったわ。」
「わかったって、何が?」
「犬夜叉があんな行動を取った理由よ。……犬夜叉は最初の頃、四魂の玉を使って本物の妖怪になりたいと思っていたの。でも、今までにいろいろあってもうそんなこと考えていないと思っていたのに……そういうことだったんだ。」
「え、でもかごめちゃんはいつでも犬夜叉を止めることができるんじゃ……」
「あの時は……怖くて声も出なかった……」
(ちっ、やっぱり今までのようにはいかねぇな。)
乱馬は何枚か豆の札を犬夜叉へ向けて投げてみたが、全て額へ届く前に爪で引き裂かれてしまった。おまけに、少しでも速度が落ちるとすぐに襲いかかってくるため、ずっと走りながらでないと行けない。
(……一発では鬼を追い出せねぇってことか。)
乱馬はわざと足を少し遅くする。
「へっ、もうへばってきやがったのか!?」
思った通り、犬夜叉がスパートをかけた。
(……よし!)
乱馬は胸を張りながら振り向くと、
「猛虎高飛車!!」
「!」
すぐ後ろにいた犬夜叉へ強気の気を浴びせる。乱馬の方へ本気で走っていた犬夜叉が避けきれるはずがない。
「ぐっ……」
気に押されながらも、犬夜叉は腰の方へ手を伸ばす。
「!?」
乱馬は見た。自分の気が何やらバチバチと音を立てながら崩れていっているのを。
<ブンッ>
「な゛!?」
そしてその中から、牙のような刀……鉄砕牙を持った犬夜叉が乱馬へ斬りかかる。ぎりぎりで避けるが、髪の毛が二、三本ほど宙へ舞った。
「俺にそんなのが効くとでも思ったのか?」
「……………。」
「あ、あとあかねちゃん。もう一つ気になることが……」
「なに?」
「敵前大逆走って何?」
そう聞いたとたん、あかねの顔がびくっと変わった。
「なんか乱馬くんが奥義だとか叫んで森の中へ走っていったんだけど……一体どういう技なの?」
「……そのままよ。敵の前から大逆走。」
「はぁ!?」
「あ、安心して。逃げながら攻撃方法を考えるっていう技なの。」
「で、でもそんなので犬夜叉を止めることが……」
「大丈夫よ。ああ見えても乱馬はいざという時は頼りになるから……」
(だよね、絶対……)
(ちくしょう……今までより余計に近づけねぇ!)
犬夜叉はあの後、何度も乱馬に鉄砕牙で斬りかかってくる。刀の分リーチもあるし、受け止めるわけにもいかないほど太い。犬夜叉の方が力があるということは、戦国時代の時の手合わせ(?)でよくわかっていた。
「ったくちょろちょろとしやがって……一気に終わらせてやるぜ!」
その言葉を聞いたとたん、乱馬は胸の辺りがぞくっとした。今までにないほどの嫌な予感。
……この時、かくっと90度に走る方向を変えていなかったら……
「風の傷!!」
間違いなく命はなかった。
<ドガガガ……!!>
「え……!?」
その閃光はかごめとあかねのところからも見えた。森の木々をなぎ倒して走る鋭い光。
「な、なにあれ!?」
「か、風の傷……犬夜叉の技よ。でも、あんなのを乱馬くんに向けて使うなんて……」
あまりの轟音と光で、周りにがやがやと野次馬が出てきた。いくら乱馬たちの日常の行為には慣れたこの町でも、こんな事は初めてである。
「あ……やっと見つけた!」
その騒ぎを聞きつけたのか、やっとあの神主がかごめ達の元へと来た。
「あの……邪悪の鬼は一体どこへ……?」
「あんたのせいで大変なことになったじゃない!」
あかねはそう言って神主の首もとをつかんだ。
「ひいぃっ!?」
(こ、これは……下手に逃げていても危ねえってことか……)
さすかの乱馬も、これには腰が抜けそうになった。ついさっきまで自分のいたところが、跡形もなくただの荒れ地になっていたのだから。
「……よく避けられたじゃねえか。」
そして、この技は……最初に乱馬が犬夜叉と出会った時、乱馬があんなに苦戦していた妖怪を一発で倒してしまった技。それを今、犬夜叉は乱馬に向けているのである。
(ただ……確かあの技はしばらく閃光が出っ放しだ。その間、あいつはそっちを見ているから……そこを狙えば何とか……!)
「おい……今の技もう一回やってみな!」
そう言って乱馬は犬夜叉がいるとことは反対へ走り出す。
「ああ、何度でもやってやるぜ!」
犬夜叉も思いっきり鉄砕牙を振り切って風の傷を繰り出す。風の傷の方が、乱馬の足なんかより断然速い。
<ババッ>
その光の中で、乱馬の赤いチャイナ服が紙くずのようにちぎれて消えた。それを見て犬夜叉はニッと笑う。
(そんな簡単にやられてたまるかっ。)
その頃、黒シャツ姿の乱馬は近くの木をつたって犬夜叉の所へと向かっていた。さっき風の傷の中にあったのはチャイナ服のみ。
変わり身の術である。
(……その強気が命取りだぜ!)
乱馬は背後から犬夜叉へ殴りかかった。
<ドガッ>
「が………!?」
声を上げたのは、乱馬だった。
乱馬の拳がまさに犬夜叉を突こうとしていたとき。いきなり犬夜叉が乱馬の方をギロッと睨みつけたかと思うと、次の瞬間には後ろ蹴りがもろに乱馬の腹に入っていたのだった。
(何………!?)
その勢いは後ろに生えていた乱馬の胴より一回り細い程度の木を四、五本ほどバキバキと折ってやっと止まるほど。
「てめぇの居場所なんか臭いですぐにわかるんだよ!!」
「くっ………」
痛みで起き上がれずにいる乱馬の目の前には、既に犬夜叉の鉄砕牙が迫っていた。
「とっとと死にな!」
思いっきり鉄砕牙を振り下ろす犬夜叉。
(―――避けきれねぇ!!)
乱馬は反射的に腕を十字に組んで防御の態勢を取る。そんなことをしても意味がないのはわかっているのに。
<ガン!!>
森中に鈍い金属音が鳴り響いた。
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えー……こういう続きのさせかたを一度でいいからやりたかったんです(ぉ
この長編自体構想は昔からかなりできていますが、実は今回の話はプロローグの頃に既に考えていた作品で、内容もその時とほとんど変わっていません。
ただ問題は、書き始めるまで戦闘描写を全く考えていなかったこと。ああ、やっぱりいきあたりばったりだ……おまけにこれ、正月に間に合うためにかなり急ピッチで書いていたのでどこか間違えてるかもしれません(汗
さーて、次回はどうなるやら……。