元が読みにくすぎたのでいろいろ加筆や修正したけどそれでも読みにくい。長すぎるのもある。 []:ナレーション的な何か 「」:セリフ ():内心 <>:もし絵にした時の背景とか全体の流れとかなんやかんや <※>:本編とあんまり関係ないコメント <※どうでもいいコメントの例。能力以外で勝手に考えている事として次男は力強いんじゃないかとか直線距離だと五男が速いが小回りは三男がきくとかありますがほとんど以降の内容には活かせていない。しっかりネタとして書ける日は果たしてあるのか。> ○設定<ここではささっと書いてあとは話の中で> おそ松:火 カラ松:水 チョロ松:風 一松:闇 十四松:光 トド松:音 ■プロローグ [松野家の六つ子は幼いある日、自らに異能の力がある事に気がついた。 それをうまく使えばいろんな道があったのかもしれない。<ここで背景にいろんな派生のシルエットでも載せとく?> ……が、どういうわけか、みんな揃って無職童貞のクズニートに育ってしまった。 これはそんな彼らの日常の小ネタ集である。] <以下、まず能力説明しつつの小ネタ> ○おそ松:火を出す。 [見たままの能力であるが、出した火で燃えないのは本人だけで、着ている服は普通に燃える。本来全身から発火できるが全裸になってしまうため、実質手からしか火を出せず、社会的(?)に大分能力を制限されてしまっている。] 長男、こっそり夜食にカップ麺を食べようとするも、五男に気づかれたため分けて食べる事にする。五男にお湯を沸かすかと聞かれるが、自分でやるからやかんに水入れて持ってこいと言う。 [なお、火力はとても強い。] 長男、片手でやかんの取っ手を持ち、もう片方の手をやかんの下に添える。そして火を出す。 [本人が『めちゃくちゃ抑えている』つもりの火で、5秒でカップ麺に必要な量のお湯が沸く。そりゃ服も燃える。] 5「さすが、普通にコンロ使うより速いっすねー!!」 1「これより小さくできないから、あまり料理には応用できないんだよなー…」 ○カラ松:水を出す。または水の操作。 [何も無いところでも水を出せるが、本人が言うには限度はあるらしい。その代わり操作する方に長ける。] 2「今日もこの水の飛沫と共に美しい…オレ!」 […普段からやっている事と言えば、周りに小さな水の玉を漂わせつつ手鏡で自分の顔を見てひたすらナルシストを決める事。] 2「十四松、ちょっと手伝ってもらっていいか?」 5「何すんの?」 [たまにこんな感じでちょっと応用もする。] ちょっとだけ光を発する十四松。それが良い感じに水玉に反射してキラキラする。 2「光り輝く水と共にいる…オレ!!」 3「十四松、それ手伝わなくていいと思うよ。」 ○チョロ松:風を操る。 [空気はその辺にあるし、変幻自在に一番いろいろ応用が利く能力。] 3「やっべ遅刻だ!今日はにゃーちゃんのライブだってんのにあのクソ長男は……あー周りに人いないしこれ使うか!」 [追い風に乗って走ればその速さは十四松をも越えるが、] 石につまづき、どんごろごろがらがっしゃんと数百メートルは転がり続ける。 [転んだ時のド派手さも十四松以上になる。] 4「えっ何今の…チョロ松兄さん?また能力使った状態で転んだのかな…」 [物や相手を飛ばすには細かい調整ができるが、自分自身についてはまだまだらしい。] ○一松:闇を出す。 [自分やその周りを闇で包む。包める最大の大きさは学校の体育館一個分くらい。暗さは調整が可能で、一番暗くすると本当に何も見えないし光もほぼ通らない<※ゼロ距離でようやく光源がわかる程度>。あくまで暗闇でしかないので物理的な物は普通に通る。ただし能力の持続時間は六つ子の中で一番長い<※闇の大きさにもよるが、自分自身を包むだけなら軽く一日以上>。] いつものようにみんなで一緒に寝る六つ子。何があったかわからないが今日の一松は寝付きが悪い。しばらくがんばって寝ようとしていたが眠れないので、少しずつ自分を闇で包み込む。 [直接の効果ではないと思われるが、本人は闇に包まれていると少し安心するらしい。まるで暗いところを好む猫である。まあ猫化もできるし。] 6「一松兄さん、もう朝だよ?それもかなり経ってるよ?」 4「え?だってまだ暗い…」 3「それ自分自身が出してる闇!とっととそれ引っ込めて!!」 1「何度見ても面白いなー朝陽の中の闇。」 ○十四松:光を出し、操作する。 [基本的には本人がめっちゃ光る。以上。…基本的には。] 5「光このくらいでいいー?」 6「ありがとー!十四松兄さんがいると全然カメラのフラッシュいらないよねー」 4「夜じゃないみたいだ…」 <※能力以外の基礎体力他いろいろで常人を越えているだけともいう。嗅覚も犬並み。> ○トド松:音を操る。 [自分や周りの音量を操作できる。一見地味だが、意外といろいろ応用ができる。他の兄弟と組み合わせて更に輝く能力…のはず。] とある朝。なかなかトド松は起きない…というか少し苦しそうである。 1「トド松ー?いい加減そろそろ起きろー?どしたー?」 5「これ…アレ準備した方がいいかも。」 1「へ?」 [思いっきり大声を出せばその辺の人はまず気絶するという点では非常に凶悪でもあるのだが、] 6「うわあああぁぁぁぁぁあああ!!!………あ…夢か…」 5「トド松おはよー!!」 6「お、おはよう……あれ?おそ松兄さん寝てるの?」 5「さっきのトド松の声で気絶した。ぼくは耳栓してたから平気。」 [たまに暴発する。あとちゃんと範囲を調節しないと近所迷惑になる。] <以下、いろんな小ネタ> ・ケンカを止めたい一松 6人一緒にいる部屋で、速度が言い争いを始める。だんだん剣呑な空気になってきたが、他の4人で誰も口を挟む勇気がなかなか無い。 そんな中、一松が急に部屋を真っ暗にする。…が、速度の言い争いは止まらないのだった。六男に明るくしてくれと言われる始末。 なお、初めて真っ暗にした時は驚いたのかケンカは止まったのだが、今は二人とも慣れてしまったらしい。 ・ケンカを止めたい十四松 6人一緒にいる部屋で、速度が言い争いを始める。だんだん剣呑な空気になってきたが、他の4人で誰も口を挟む勇気がなかなか無い。 そんな中、十四松がまばゆく発光する。無事だったのはグラサンをかけていた次男(なぜ部屋でかけていたのか突っ込んではいけない)と、とっさに自分を闇で守った四男のみ。速度+六男は「目が〜!!」と言いながらじたばたしており、無事にケンカは止まったのだった(六男は完全にとばっちり)。 ・ケンカを止めたいトド松 6人一緒にいる部屋で、速度が言い争いを始める。だんだん剣呑な空気になってきたが、他の4人で誰も口を挟む勇気がなかなか無い。 そんな中、トド松が家の外まで響くような大声を出す。トド松以外の全員が気絶したためケンカは止まった。 6(うん、静かになった。) そして翌日、近所から騒音の苦情が来た。 6「ちょっと気を抜くと範囲調節忘れるんだよねー…」 ・長男と銭湯 6人で銭湯の湯船に浸かる。 4「なんか…ぬるくない?」 5「ちょっとぬるいかも。前の人が水多めに入れちゃったのかな?」 3「同じく。」 2「ミートゥー。」 6「…だって。おそ松兄さん。」 1「へーい。」 現状、長男が全身発火して問題無い所は銭湯の湯船くらいである。見た目発火していないのは置いといて。 4「あ、この辺で。これ以上は熱い。」 1「…あー、外でもどっか思いっきりゴォッってできないかなー」 6「いや無理でしょ、全裸になるし。」 1「一松ー、なんかお前も似たような事できるって聞いた気がするけど。」 4「あれ少し揺らめいて見えるだけで闇だから。ちょっと嫉妬心が入ると形がそう見えるだけ。」 1「そうなの?まぁそうかー、俺だけの力だもんなーこれ。でももっと良い感じに使いたいなー」 3「そう思うのは良いけど思いつきで変な事やらないでよね。前に誰も見てなければ良いと思って空き地でやって山火事になりかけたし。」 1「てかそもそも、俺ら普通に外でいろんな話で全裸になってたと思うよ?」<背景にTVシリーズのいろんな全裸> 5「それ言っちゃいけないやつー!」 ・水陸松と河川敷 三男はある日、次男にカメラの三脚が見つからないので代わりに持って撮影して欲しいと頼まれる。他の兄弟は外出していたのでしぶしぶ受け入れる。もちろん撮影対象は、次男。普段部屋でやっている事と変わらないんじゃないのかと聞いたが、どうも外でしかできない事らしい。 そうして行った先は近くの河川敷。次男は川を背に立ち、三男はカメラの位置の調整をする。 3「本当にこの辺で良いの?結構小さく見えちゃってるけど。」 2「ノープロブレムだ。…もう少し待て、何度か練習したが難しくてな…」 3(何の練習だよ…) とその時、次男の後方の川面が盛り上がる。その高さは次男の五倍は越えるほどになり……目の前の次男と同じポーズをする巨大な水の像となった。 2「よぉーーーしライトナゥ!シャッターを切りまくってくれ!!」 3(えええええええ!?いやまあ切るけど!撮影はするけど!!) その後も次男が別のポーズを取ると後ろの巨大水像も同じポーズをする。心の中でツッコミ続けるも撮影はちゃんとする三男。 3(確かに操作するのは得意とか言ってた気がするけどどんだけだよ!!能力のヤバさとやってる事の温度差が激しすぎるんだが!?)2「…アーンド!ザッツラストワン、これで最後のポーズだ。撮ったか?」 3「撮った!ちゃんと撮った!!」(とっとと終わってくれ!!) 2「フッ……。…フィニッシュ。」 次男が最後に掲げていたポーズの手をだらんと下げると、後ろの水像も崩壊を始めた。 2「これ、結構疲r」 完全に重力に任せて崩壊した巨大な水像のしぶきは、当然次男と三男にも降りかかった。特に次男は思いっきり波を被る事に。 2「…………。」 3「……聞くまでも無いけど、後の事考えてなかったよね?」 2「…水も滴る…オレ!!」 3「カッコつけてごまかすな!!」 2「ていうか、何でお前は濡れていないんだ?」 3「風圧で守ったからだよ。つーかカメラ濡らしたら全てがダメになってた所だったんだから礼を言え!」 2「すまん。」 ・一松とベンチ 猫にエサをあげた帰りの一松。ふとベンチに目をやる。昔、冬にブラックサンタの格好でモブカップルと話?をした所。あの二人とは何とも言えない縁ができてしまったが、それはそれとしてリア充は敵である。今日もあのベンチには、別のリア充がいた。なんかキャッキャしている。 4「……」 ほんの少し、一松は自分を含めた周囲を暗くする。女性は異変に気がついたようだが男性は気がついていない。もう少し暗くすると男性側も気づいたようだ。少しニヤリとする一松。 …一松は少し様子を見ていたが、怯えるかと思われたリア充は、逆に良いムードになってしまっていた。これ以上暗くすべきか、いやさらに逆効果になってしまうのではとぐるぐるぐるぐる考えた挙げ句、 4「」 気絶。周囲も元に戻った。どこからかスッと現れた十四松が一松を回収していく。 5「ただいマッスル!」 6「おかえりーって、どうしたの一松兄さん?」 5「なんかリア充を嫌な雰囲気にしようとして、逆に良い雰囲気にしちゃって気絶してた!」 6「どうしたらそうなるの?」 ・末松と登山 登山に出かけた五男と六男。森の中。 6「十四松兄さん、もう少しゆっくりでいいよ。登山はペース配分が重要だから。」 5「あい!トド松、さっきから鳴らしてるこの鈴何?」 6「これ?熊鈴と言って、熊に出会わないために鳴らすの。…十四松兄さんなら熊と会っても大丈夫な気はするけど。」 最初は五男が前を歩いていたが、途中で六男が前に交代。しばらく歩いて、ちゃんと後ろを歩いているか気になり六男が振り向くのと、五男が謎の光線を奥の木へ発射したのは同時だった。 6(え゛!?) 6「あの…十四松兄さん…?」 5「さっきねー、恐竜がいたの!」 6「きょ…恐竜…?」(あれ、多分、レーザーで合ってる?) 5「当ててないから!ちょっと驚かしただけ!」 6「そ、そうなんだ…」(確かに光だけど…えー!?) 代わりに当たったと思われる木はそこからバッキリ折れていた。 5「大丈夫、家族にも使わないから!」 6「まず人間に向かって使わないでね…」 ・長兄松とサウナ<※あの家の風呂周りがどのくらいの広さだったかあまり覚えてないので、これができるのかは少し不安がある> 狭い一室で、木の板で作った簡易な椅子に座っている長男と次男。湿気がすごい。 1「…そろそろ気温下がってね?」 2「いやまだまだ充分だろ。」 1「んー…少しだけ。」 長男は一番抑えた量で火を出す。 2「仕方ないな。」 そこに次男が水をかける。湯気と水蒸気が一気に広がる。 しばらくして。壁にかけてあったキッチンタイマーがピピピと鳴った。 1「っしゃあ時間だ!」 2「おい、その板もう少し丁寧に外せ。」 ただでさえ狭い家の風呂場を更に板で仕切っていたようだ。板の外側に湯船があり、2人は勢いよく浸かる。<※良い子は一気に入ってはいけません、少しずつ浸かりましょう> 1「えーと…水風呂って何分だっけ。」 2「確か2分くらいだった気がする。」 更にしばらく経って、三男が家に帰ってくる。ちょっと風呂周辺の湿気が普段よりあるのを気にしつつ部屋に入ると、タオル1枚で外気浴をする長男と次男がいた。 1「っは〜気持ちいいなこれ!!」 2「これがととのうと言う事か…!」 3「…何やってんの?」 1「即席サウナ!思いつきでやってみたけど何とかなるね!」 2「サウナやってる所までは遠いし、お金もかかるしな。…と、時間だ。」 1「おーし2週目行くぞー!!」 2「おう!」 3(えー…) [2人の力を使わないとできないが、風呂場が狭いので実質2人しか入れない即席サウナ。この後仕切りの板が湿気で腐りかけたことと、浴室の壁を焦がして松代に怒られたため一月もせずに幻となったという。] ・数字松とカップ麺 四男、こっそり夜食にカップ麺を食べようとするも、五男に気づかれたため分けて食べる事にする。 5「一松兄さんが夜食って珍しいね。前におそ松兄さんも同じような事してた!」 4「そうなんだ…やかん、どこだっけ。」 5「こっち。あ、水入れたらやかん貸して。おそ松兄さんみたいな温め方してみたい。」 4「いいけど…お前、光でしょ。」 5「うん、でも多分できると思う。」 4「…わかった。」(もしかして虫メガネみたいな感じでやりたいのかな…ならわかる。) (五男、片手でやかんの取っ手を持ち、もう片方の手をやかんの下に添える。その状態でしばらく静止。) 4「…これ、もしかして結構時間かかる?」 5「えっと、できるときは一瞬だと思う。ちょっと今計算してる。」 4(計算って…何の?) 5「…こうかな。一松兄さん、カウントダウンお願いしていい?」 4「?…いいけど。」 5「じゃあ3秒前から。」 4「3,2,1,」 カウントダウンと同時に、下に添えていた五男の手が明るくなっていく。何かを感じた四男、自身を少しだけ暗くする。 4「0」 やかんを光の柱が貫く。光はやかんどころが天井にまで穴を開け、やかんの中の水はほとんどが蒸発して少しの水滴が残るのみとなった。 45「…………」 5「…ごめん…計算、一桁間違えた。」 4「…えっと…十四松が無事ならそれでいいよ。」 4(虫メガネじゃなくて…なんだっけあれ。) 5「一松兄さんも無事?」 4「一応。自分を闇で暗くしてなかったら、多分目が潰れてた。」 4(ま、いいか。) 5「やかん、買わなきゃね…」 ・若葉松とアホ毛 朝、洗面台の鏡で自分のアホ毛を見る三男。普段は髪を整えてアホ毛を目立たなくさせているのだが、どうも今日はなかなか他の髪に沿ってくれない。ちょっと水をかけて櫛を当ててみるもやっぱりアホ毛は寝ない。 3(何なんだ今日は…) 櫛ではいつまで経ってもどうにもならなそうなので、ちょっと風を吹かしてアホ毛だけ立たせると、 3(これでいいや。) ぴっと小さな風の刃を飛ばして2本のアホ毛を切った。 5「えー!?」 それを後ろで見ていた五男。 3「うわびっくりした。十四松も洗面台使う?」 5「今何やったの!?」 3「あー、ちょっとカマイタチで髪切っただけ。もしかして初めて見た?」 5「カマイタチは別に良いけど、それ切っちゃうの?」 3「そっち!?いや今日どうしても寝かせられなかったし、あのままだと落ち着かないし。」 5「でもそれ、ぼく達六つ子の特徴の一つじゃん。」 3「そこまで特徴じゃないと思うけど…どうせ三ヶ月もしたらまた生えるし。それ言ったら十四松だけなんでアホ毛1本なの。」 5「本当はこれ2本だけど1本にまとめてるから。」 3「マジで?」 5「嘘。」 3「嘘かよ!!」 5「でもたまに枝毛でそれっぽくはなるよ!」 3「ちゃんと髪の手入れしよう!?」 [この極小カマイタチ、手のひらサイズだし射程も非常に短いが、ハサミ代わりとしてはとても便利である。お菓子の袋を開ける時とか。] ・110松と読書 部屋で長男・三男・五男が何やら盛り上がっている。その隅っこで本を読んでいる六男。そこに四男が入ってくる。少し部屋の様子を見た後、六男の隣に座る。 4「…トド松。」 何度か声をかけてみるが、全く気づかない。少し肩をトントンしてみて、ようやく振り向いた。 6「あ、ごめん気づかなかった。何?」 4「いや、よくこの賑やかな中で本読んでいられるね。」 6「うん、自分のとこだけ音消してたから。一松兄さんも本読みに来たの?」 4「そう。猫の本。」 6「じゃあ、一松兄さんのとこも静かにしてあげる。ちょっと範囲変えるだけだし。」 そう言われた直後、四男の周りから音が消えた。あっちで三人は相変わらず盛り上がっているのに、全く声が聞こえない。外の音すらしない。 とりあえず四男はその場で少し本を読み始めるも、 4(…なんか落ち着かない。) ここまで静かだと、一人でいるような感覚に陥ってしまいそうだ。静かで、一人。 4(…静寂と、孤独…?) うっかり何かを思いかけて首をぶんぶん振る。その二つを愛する当人は、盛り上がる三人のすぐ横でいつものように手鏡を見ている。 4「…トド松。ごめん、おれはそのままでいいや。」 6「そうなの?まあ、兄さんがそういうなら。」 再び音が戻ってくる。なんとなく、いつもって感じの音だ。 4「……。」 そして四男はしばらく本を読んでいたが、 4(…やっぱり、ちょっとうるさいかも…) その表情は非常にムスッとしていた。 6(一松兄さん、結局うるさいんじゃないの…?) <幕間みたいな何か> 6「カラ松兄さん、あんな近くにいてうるさくなかった?」 2「ブラザーがハッピーでピースであるなr」 6「そーゆーのいいから。」 2「…とてもうるさかった。」 6「やっぱり。」 6(全く顔に出さない所はすごいけど…) ・速度松と履歴書 2階の部屋で履歴書とにらめっこをしている三男。そこに長男が入ってくる。 1「お前、また出す気も無い履歴書見てんの?」 3「いつかはちゃんと出すから!いつかは。…せっかくだから聞いていい?」 1「えーなに?」 3「この特技の欄さ、僕の能力、風について書こうと思ってるんだけど。ただ『風を操れます』だとそれでどういう風に役立つのか聞かれる気がするんだよね。それについて一緒に考えて欲しい。」 1「いやそれ、お前の能力なんだからお前にしか書けないでしょ。」 3「そうなんだけどさ、普段どんな事に使ってたっけーとか。」 1「そうだなー…」 長男、数秒考えた後、 1「『遠隔スカートめくりができます』。」 3「してねーよ!してたかもしれないけど小学生までだよ!!」 1「えー、俺高校生になってもスカートめくりしてたけど。」 3「それおそ松兄さんだけだから!!」 1「まあお前高校じゃあ真面目キャラだったからねえ。」 3「そもそもそんなの履歴書に書けないでしょ!真面目に考えて!!」 1「他ねえ……『丸めたティッシュを離れたゴミ箱へも正確に投げ入れられます』。」 3「真面目に考えろって言ってんだろーが!!」 1「えー、お前の一番普段からの使い道ってそれじゃないの?チョロシコスキー。」 3「誰がチョロシコスキーだ!!」 周囲に少しだけ風が吹き始める。 3「次にそういう事言ったらぶっ飛ばすよ?」 1「(おー怖…)…あ、前にライブに遅刻するっつってめっちゃ走ってったよな。『めっちゃ速く走れます』。」 3「…それはいいかも。最初からそういうの言ってよ。」 1「『そしてすぐ転びます』。」 3「それは書かないから。つか遅刻したのおそ松兄さんのせいだからね。」 1「あ、結局転んで遅刻したんだ。」 3「……。」 1「後はー、この前のあれもアリか?」 3「あれ?」 1「『自分の○ン○を絶妙な風で○○○ーできるか練習しています』。」 さすがに三男、ブチギレる。 3「こンのクソボケがァァァァ!!!」 凄まじい突風で長男、二階の窓から外へ投げ出される。多分隣町くらいまで。 1「ホントにぶっ飛ばしたよこの人ぉぉぉ!?」 三男、窓をピシャリと閉めて再びテーブルに向かうが、履歴書が無い事に気づく。勢い余って一緒に飛ばしてしまったらしい。 3(…回収してこよう。) 三男、部屋を出る。 ちなみにその一部始終を端で見ていた五男と六男、 5「今のを面接でやればいいんじゃない?」 6「いやダメでしょ。」 <※ネタ発想の大元は某イオナズンコピペだったはずなんだが、いろいろこねくり回していたら面接以前の話になってしまった。なんでだ。> ・材木松とギター 街角でギターを弾く次男と少し離れて立つ六男。次男の格好は革ジャンの下に例のクソタンクトップ。次男のギターに立ち止まる人は全くいない。 2「トド松……すまないがもう少し音量を上げてくれないか?どうもオレの歌声に気づく人は未だいないらしい。」 6「さすがにこれ以上上げるとうるさいんじゃないかなぁ、別の所に理由があるんじゃない?」 2「別というと…まさかオレが美声すぎて声をかけるのをためらわれているのか!?そんな遠慮はしなくていいぞカラ松ガールズ!!」 6「…ある意味その発想がうらやましいよ。とにかく、ボクをアンプ代わりに使ってるんだから後で何かおごってよね?」 2「ああ。」 6(ま、ホントは周りに聞こえなくしちゃってるんだけど。…いやギターは別に良いんだけどなんでその格好なんだよ!イタすぎるよ!その隣にボクがいるって思われたく無いよ!!) しばらくして、六男は不意に声をかけられる。 1「あれー、こんな所で何やってるの?二人して逆ナン?」 長男だった。 6「違うけどそれに近い感じかな…」 2「おそ松か。今日はただ待ってるだけではないぞ?」 1「お前の格好相変わらずアバラ折れるわ〜。」 2「オレは街を通るガールズがオレの美声を聞くことで彼女達のライフに少しでも彩りをa」 1「今目の前に来るまで全く聞こえなかったよ?」 2「ホワッツ!?」 6(さっきまでアバラ折れそうな奴がいきなりそこ突っ込む!?) さらっと言う長男に戸惑う二人。 6「いやーそれはね、ごめんやっぱり音量小さかったかな!?」 2「この中でも目立つようトド松に音量を上げさせていたんだが、どの辺で聞こえたんだ?」 1「だから目の前。ここに来たら急に聞こえるようになった。上げるっていうか逆に消えてね?」 6(より言い逃れできない状況ー!?) 2「…トド松?」 次男は六男の方を向く。 6(もう謝ろう!これ普通に謝ろう!!) 6「…ごめん。あの、」 2「フ、言わなくてもわかるぜ。お前がオレの美声を独り占めしたいって事くらい。」 6「は?」 2「だがカラ松ガールズも同じ気持ちだ。そうだろう?」 6「…そういう事にしておく。」 6(なんっにもわかってねーよ!!でもそれでいいやもう!!) 1「うっひゃー今のでアバラ10本は折れたかも。」 6「そっちはそっちで結局何しに来たの!?」 その後はきちんと音を出すようにしたが、結局立ち止まる人はいなかった。ただ何人かこちらを向く人はいたようで、それだけで次男は満足したらしい。そして六男はちゃんと昼食おごってもらった。 6(カラ松兄さんがバカで良かった…) ・筋肉松と釣り堀 いつもの釣り堀にて。 5「兄さん、またラブレターをエサにしてるの?」 2「フ……この前とは書いた内容は違うぞ?」 次男と五男が、並んで釣りをしている。 2「そっちは何か、工夫はしているのか?」 5「これからする。集魚灯!」 五男は水面の方にのみ、ぴかーと輝いている。 5「そういえばカラ松にーさんて、釣り堀では能力使わないよね。水いっぱいあるとこだけど。」 2「それだと釣りにならないからな、マイルールで使わない事にしている。釣りとは待つ事だ、ブラザー。」 二人はしばらくその状態でいたが、ほどなくして五男側の釣り竿が揺れた。 5「あ、お先にー…って、あれ、えっ」 五男は釣り上げようとするが、意外と重い。水面に見える魚影もかなりでかい。そして引きずり込まれそうになったので次男もあわてて加勢に入る。 <この辺ファイト一発のCM的なノリで。> <※どうでもいいけど個人的には崖登りとか吊り橋とかしか知らなかったんだが調べるとカジキマグロ釣り上げるバージョンが出てきたのでマジで吹いてしまった。> どうにかこうにか、二人は釣り上げに成功する。 5「カラ松にーさん!すっげー大物!!」 2「こ、この釣り堀にこんなすごいのがいたのか…」 5「メジャー持ってきて!」 2「おう!」 …場面転換して、家。 5「そんな感じで、カラ松にーさんと釣り堀でダイオウイカ釣って魚拓にしてきた!!」 2「10m越えのビッグサイズだったぜ…」 二人はとんでもない長さの魚拓を持ちつつ、笑顔で帰ってきた。 3(ツッコミきれない!!!) ・保留組の共同作業 梅雨入りから四日目の赤塚区。今日も雨はしとしと降っている。 そんな天気の昼、松野家の洗濯機は脱水を終えたようで甲高い音を鳴らした。次男・三男・五男の三人がかごに洗濯物を入れる。 2「今日も長くなりそうだな…途中で寝るんじゃないぞ。」 5「あい!」 3「途中でバテたら一番ダメなの、兄さんの方だけどね。」 二階から、まず次男が外に出る。次男の周りだけ雨が避けるようにそれていく。そうして物干し台までの道を作り、後から三男と五男も出てきた。物干し台に洗濯物をかけ、三人はしばらくその下に座る。 [次男:雨よけ。洗濯物の上から降ってくる雨を他の方へそらす。一番重要な役割。] [三男:サーキュレーター。五男の周りの暖かい空気を洗濯物に循環させる。そして自分達の周りは少し外の空気も入れて涼しくする。ただし外の空気は雨で湿度があり、入れすぎても不快なので洗濯物周辺よりもそっちの調整が大変。] [五男:太陽光代わり。光っているだけに見えるが、普段と比べるとほのかに熱もあり太陽光に似せているらしい。] <当然まぶしいので、次男はいつものサングラス着用。三男はにゃーちゃんグッズで出ているという体でのデザインなサングラスにしとくか。> ―約三時間後。 三人は少しふらつきながらも洗濯物を回収し、二階の部屋へ投げ入れる。部屋には残りの三人がいた。 3「はいこっち終わり!お前ら畳んで!!」 6「うん、後でね。今回もちゃんとふっかふかだねー!」 4「すごいよね。コインランドリー代どんだけ浮くんだろ。」 そして最後の洗濯物を投げ入れた後、三人は部屋で倒れるように寝転んだ。 2「後は頼んだぜ、ブラザー…」 5「電池切れー…」 これだけ能力を酷使した三人への報酬は、洗濯物を畳まなくていい事くらいである。 1「これさ、真面目に商売にならない?」 3「無理。こんなん毎日ずっとやってたら死ぬ!」 2「ただでさえこれ以上洗濯物を溜められない時の最終手段だからな…」 5「zzz…」 ・扶養組の共同作業 [これまでのあらすじ:3(僕が家に帰って部屋に入ったら、真っ暗な空間が広がっていました。どういう事!?)] 動揺を抑えつつ、その場で周りに何か無いか手で探る。と、手を後ろにやると何かにぶつかった。よく触ると、さっき自分が開けた戸のようだった。 3(つまりここは…部屋!ただ暗いだけ!!) となると、思い当たることは一つだけ。 3「一松、なんでそんなに闇広げてるの?…!?」 話そうとして、気づいた。音が全くしない。自分の声すらも。これもできる人は思い当たるといえばあるのだが、 3(俺、一松とトド松を怒らせるような事したっけ!?) なぜ自分がそんなことをされているのかについては全く思い当たりが無い。必死でここ最近の自分の行動を思い出そうとしてると、誰かの手が腹に軽く当たった。 3(え?何?) 続けて胸元、顎下と少しずつ当たる所が高くなっていく。 3(何なの…!?) 困惑の矢先、すぐ目の前で炎が燃え上がった。 3「うぉわぁぁぁあぁあぁ!?」 思わず尻餅をつく三男。叫んだ声と同時に闇は晴れ、音も聞こえるようになった。そこに見えたのは、炎の元と思われる長男と、その後ろで『ドッキリ大成功!』の看板を掲げる四男、スマホで撮影する六男。 3「……って何してんの三人とも!?」 1「即席恐怖の館。暇だったから。」 3「アホかー!!」 突っ込む三男の横で、五男が何か言いたげな目をしていた。 3「…十四松?もしかしてお前もやられたの?」 5「うん、一松兄さんの闇はぼくの光でも見えないし。ちょっと前髪焦げた。」 その更に後ろには、上半身が黒焦げの次男が倒れていた。 3「で、あれは?」 1「最初に入ってきたのカラ松だったんだけど、最初だったからちょっと火を出す場所と火力間違えちゃってさ。一松の闇の中じゃ本当に目の前で炎出さないと意味ないし。」 6「正直カラ松兄さんじゃなかったら死んでたよね。」 4「うん、死んでた。でも一番反応がオーバーで見てて楽しかった。」 3「だからそんな事を暇つぶしでやるな…」 またツッコミを始めようとしたが、途中で何か思いついたらしい。 3「つかさ、3人でここまでできるんだったら本当に恐怖の館みたいなのやっていいんじゃないの?」 6「は?」 3「うん、行ける行ける。6人だともっといいかもしれない。」 1「おーいチョロ松ー?」 5「ライジング入っちゃった?」 続く。 ・六つ子の共同作業 デート中らしいどこかのカップル。公園近くを歩いていると、公園内に謎の建物ができている事に気づいた。ちょっと粗末な感じの建物に、下手な文字でお化け屋敷と書かれてある。お化け屋敷の前に何かついているようだが、黒く塗りつぶされていた。その入り口らしきところに、係らしき人が一人立っている。 カップルは怪訝な顔をしつつも、少し気になり、建物近くに来てみた。 5「あ、もしかしてお化け屋敷に興味ある!?一人千円だけど、カップルなら五百円だよ!つまり二人で千円!やっすいよ!!」 …正直、お化け屋敷としてはとても高い。というかいつの間にこんなのができたのだろう。とか考えていると 「ぎゃああああ!!」 先に入っていた客と思われる人がすごい勢いで叫んで裏から出て行った。 5「怖さは本物だよ!!」 結局気になり、入ってみることにした。 5「ちゃんと懐中電灯持ってね!」 中は、結構安っぽい作りだった。突貫で立てられたらしい建物はあちこちに隙間があり、お化け屋敷なのに少し外の光が漏れている。まず見えたのはなんかオバケの絵だったが、とても下手な物だった。値段分の意味があったのだろうかと思った矢先、近くの壁に火らしき物が見えた。人魂…と言うにはやたらと火の勢いが強いが。近くを通ると結構熱い。人魂というか炎と言ってよかった。そして通り過ぎようとした時、更に炎の勢いが強くなって男性側をかすめた。さすがにビビる男性。と同時にどこからか水がかけられ、炎は治まった。思いっきり男性は濡れたが、今の所女性側に被害はない。カップルが通り過ぎた後、ひそひそ話が聞こえた。 2「おそ松、火力が強すぎるって何度言えばわかるんだ。」 1「だーってあいつらあんなにいちゃついているんだもん。リア充爆発炎上しろ。」 2「気持ちはすっごいわかるけどな!?」 1「いーよなーお前は、どんだけ水ぶっかけても問題無いから。」 その後、カップルは男性が女性に濡れた所をタオルで拭いてもらいつつ歩いていた。本当ラブラブである。少し前から数秒おきに建物内の風が変わっても髪が邪魔だねーな程度で歩いている。 3(湿度は調整できないから生暖かい風は今無理なんだよな。…それはそれとしてあのカップルイラつく。風向き変えまくっても怖がらないし。) ふと、カップルは気づいた。いつの間にか最初に建物に入った時より妙に暗い。懐中電灯で遠くが全く照らせない。かろうじて互いの顔と自分の周りの道がわかるくらい。 4「暗さ、このくらいでいい?」 6「OK。じゃこっちも行くね。」 それでもカップルはまだ冗談を言い合いながら歩いていたが、急に互いの声が聞こえなくなり、初めて焦り始める。カップルは少し早足で歩き、出口の看板を見かけてほっとしかけた所でとんとんと肩を叩かれた。足音は全くしなかった。 恐る恐る懐中電灯を後ろに向けると、そこに見えたのは化け物としか思えない顔。 「ぎゃああああ!!」 …正確に言うなら、例のやばい表情をした六男。カップルは懐中電灯を放り投げて逃げるように出口から外に出て行った。一時的に音を聞こえなくしたのは建物内だけなので、外に出て行った客の叫び声はよく聞こえた。 4「…今回もうまくいったね。ていうか、やっぱり何度見てもすごいなその顔。」 6「少しは一松兄さんも脅かす役やってよ。正直変顔は同じくらいすごいと思ってるから。」 4「やだ。リア充の前に出たくない。」 6「位置的には後ろだよ?」 3「はーい、次の客来たから場所戻ってー。」 正式名称:リア充絶叫お化け屋敷。内容的にはリア充関係無く絶叫するのは置いておく。 最初はうまく行っていたはずだったのだが、リア充の毒気(?)に晒されて少しずつイライラ度が増していったためか、少しずつおかしくなっていく。 まだ暗くなりきっていないうちにリア充のいちゃいちゃ話を聞いていられなくなった六男が飛び出すし(やっぱり顔がやばかったので驚かす事はできた)、一度だけ脅かす役になった四男はリア充に向かって尻を出すし(驚かれた事に変わりは無い)、長男の火力は更に増して建物を燃やしかけるし(次男が消火した)、次男も水量を誤ってリア充を出口まで押し流すし(ある意味驚愕ではあった)、しまいには全くリア充を怖がらせられていない三男がどうにかしようと本気を出した結果建物の屋根ごと吹っ飛ばしてしまった。 3「…………」 2「空が…高い…」 6「どーすんのこれ!台無しだよ!?」 1「まさか一日持たないとはなー。」 5「やっちゃったねー!」 4「やっぱりあれだけのリア充相手は…無理…」 <※元ネタの警察24時をよく知らなければパチンコもよく知らないので突っ込み所はたくさんあると思われるがまあ勢いだ。Xio密着24時は見た。どうやってもナレーションを似せることは元ネタを知らなすぎて無理だったので最初のこれ以外は幕間以外基本的に無いという事にさせて。> <パチンコ警察24時シリーズ> [―パチンコに勝つ兄弟がいる限り、彼らの夜は終わる事が無い―。] ・カラ松編 2(久々に、プラスだ。) ある日の夜。次男は昼はフリーハグ待ちで誰も来ず、そのまま帰るのも微妙だったので何となくパチンコ店に寄ったら勝ってしまった。それもまあまあな額。 2(…黙って帰れば、バレないか。) そう思いつつ店を出てしばらく歩いたら、 6「は〜いそこのお兄さん?」 …いた。警察の格好をした六男。すっかりなりきっている。 6「こんな夜遅くに何をしているのかな?」 しかし現行犯以外では確証が無い限りは捕まえられない、そういうルールだったはず。ごまかすことにした。 2「フ…街でカラ松ガールズを待っていたのだが、シャイなのかなかなか現れなくてな…こんな時間になってしまった。」 4「あーうん、それも本当なんだろうけどね?」 いつの間にか、背後に四男がいた。やはり警察の格好をしている。宵闇にでも紛れていたのだろうか。完全に挟まれている。 6「それだけなら我々は出動していませんよ。」 4「夕方、猫にエサをあげていた帰りの人からタレコミがあったんです。あなたがパチンコ店に入っていった所を見たと。」 そのタレコミ本人だろと決して突っ込んではいけない。 6「そして、この時間までいる。…カバンの中、見せてもらえますか?」 2「……」 最初に正直に言えば良かったと今更思ったが、既に後の祭り。残る手段は一つ。 2「…すまん!」 次男は目の前の六男を押しのけて駆けだした。 6「痛ったー!!何なのあのバカ力!?挟み込んだ意味無いじゃん!」 思わず素に戻る六男。まだちゃんとなりきっている四男はトランシーバーで声を荒げる。 4「落ち着け!……不審者、三丁目方面へ逃走!至急応援を頼む!」 135「了解!(わん!)」 それから数秒後にはもう、次男のすぐ後ろを警察犬の五男が追いかけてきていた。 2(いつ現れたんだ!?) それでも必死に逃げていたが、十字路にさしかかった所で 3「はい止まれー!」 横から文字通り突風のように出てきた三男に押さえられ、倒れ込んだ。追いついた五男に足を噛まれたところで、長男がすたすた歩いてくる。 1「俺の出番全く無いじゃん。楽だから良いけど。はい確保。」 2「オーマイガッ!!」 [―○月×日 PM10:30 松野カラ松、逮捕。] <幕間の1ページみたいな感じでその1> [パチンコ警察によって押収された物は、兄弟によって分配される。確保に活躍した者へは多めに配られる事になっているが、] 1「え、俺のボーナス無いの?確保したのに。」 3「自分で今回出番無いって言ってたじゃん。」 [揉める事が多い。] ・チョロ松編 3(こんなに勝ったの、いつ以来だろう?) その気は無かったのだが、ちょっと疲れ気味だった日に何となくパチンコに寄ったら勝ててしまった。 3(まあ特に行くとも言ってないし、ちょっと遅くなったけどそのまま普通に帰ればバレなi) 1「ちょっとそこのお兄さん?」 5「わん!」 3(なんかいるー!!) 店を出て数歩歩いただけで長男と五男がいた。警察と警察犬の格好で。 3「何?僕の事?」 1「ええ、今パチンコ店から出てきたお兄さん、あなたです。結構長く店に入っていましたね?」 3(いや兄はそっちだからね?ていうかどんだけ見張ってたの?てめーらヒマか!ヒマだったんだな!?) 3「そんなに気になってたんならおそ松兄さんもパチンコすれば良かったじゃん。」 1「兄さんじゃありません、巡査です。それに、犬と一緒に入る訳にはいきませんし。」 5「わん!」 3(十四松なんだから犬の格好止めれば問題無いんじゃ!?…突っ込んでたらキリがない、ともかく、) 1「話をそらしても無駄ですので、そのかb」 3(先手必勝!!) 長男の話も終わらないうちに、三男は風と共に走り去った。五男は追いかけてもいいかと聞くような目をしている。 1「あーらら、勝ったって言ってるようなもんじゃんあれ。…追いかけてもいいと思うけどさすがにあれは無理じゃね?」 少しだけ素になりかけたが、慌てず騒がず、長男はトランシーバーに向かって再びなりきる。 1「不審者、二丁目方面へ逃走!一松巡査のいる方だ。予定通り行えるな?」 4「了解。」 三男の走る方向に、四男が見える。 4「そこのお兄さん、止まりなさい。止まらないと危ないよ。」 3「言われて止まるバカがいるかってんの!」 4「ふぅん。」 四男は捕まえようとするそぶりもせず、ただニヤリとする。三男が目の前まで来たところで、周囲を街灯も見えない暗闇に閉ざした。 3「!?」 前後不覚に陥る三男。目論見に気づくも既に遅く、前後どころが高低もわからないため足を踏み外し、後はそれまでの風の勢いでどんごろがしゃーんとまた派手な音が闇の中に響いた。四男が闇を晴らすと、電柱のそばで倒れている三男がいた。 4「だから危ないって言ったのに。チョロ松兄さんさ、速さを売りにする割りにはよく転ぶよね。」 3「今のはお前のせいだろが…!」 4「それが何か?はい、確保。」 [―○月△日 PM11:20 松野チョロ松、逮捕。] ・一松編 4(…マジで?) 自分からはほぼほぼ行く事は無いパチンコ。今日は長男に誘われて予定も無かったので行ってみたが、どうせ負けるだろと思っていたのになぜか勝っている。 ちらりと長男の方を向くが、表情からして今日の長男は明らかに負けていた。 4(話しかけられる感じじゃないかな…) 長男に聞く気は起こらず、しかし換金は行って店を出た。 4(…どうしよう、これ。) 少し西日が差す夕方。パチンコ警察が出動するのは主に夜のため、帰るまでにバレる事は無いだろうが、その後からバレた例は何度か見ている。確保する側になるのはとても好きだしノリノリでやるが、確保される側にはあまりなりたくなかった。 いろんな考えすぎとも思われそうな考えがぐるぐる回る。少しくらっとしたがこんな道ばたで倒れたらそれこそバレる。更に考えがぐるぐる回る。 <※ぐるぐる中の具体的な考えがあまりできていないが、他の兄弟と違い自分の能力が相手への直接攻撃ができない事は書きたい。この辺本当に闇深そうでノーマル四男。> 4「……っ!」 ズボンに両手をかけた所で少しだけ残っていた常識(??)を思い出し、自身を闇に包む。闇の中ならパニックで尻丸出しでう○こ座りしても社会的にヤバイ事にはならないのだ!多分!!身は出ないし!! 4(……) しばらくして落ち着きを取り戻すも、無駄に頭を使った反動か眠気が出てきた。 4(この中なら…少しくらい寝てもいいか…) 「わん!わん!!」 4(犬の鳴き声…?) 結構寝てしまった気がする。そんなぼんやりとした頭で薄目を開けると、少しの光と聞き慣れた声がした。 5「わんっ!!」 4「十四松!?」 あわてて闇を引っ込めると、街灯がついててすっかり夜。目の前には警察犬の格好をした十四松がいて、更にその周りには警察の格好をした四人。ただし、よくある高圧的な態度ではなく、どちらかというと心配していそうな表情だった。 3「お兄さんダメでしょ、こんな所で寝てちゃあ。」 …あくまで警察になりきった上で、だが。 2「その格好でいると風邪引いてしまうぞ。」 1「立てる?歩ける?」 4「歩ける…けど、どうやって気づいたの。」 1「確かに夜だとわかりにくいけどさ、お兄さんの闇暗すぎて懐中電灯を当てても真っ黒なの。」 5「こんなに近くにいないと光見えないみたいだしねー!」 3「十四松、今警察犬。」 5「わん!」 4「これ…確保?」 3「確保っていうより、保護かな。逃げた訳じゃないみたいだし。」 6「ずっと気になってるんだけど、まず尻しまって。」 [―△月□日 PM8:15 松野一松、保護。] ・十四松編<と言っても多分1ページだが> 5「CRただいまー!」 3「おかえりー。…もしかしてパチンコ勝った?」 5「勝った!だからちょっといい肉買ってきたってかーさんにも言っておく!あとカラ松にーさんはすっごく負けてた!」 2「それは言わないでくれブラザー…」 [―◇月◎日 PM4:50 松野十四松、無罪。今の所逮捕歴無し。] <幕間の1ページみたいな感じでその2> [パチンコ警察の言い出しっぺは長男、その後いろいろ制定したのは三男である。が、] <十四松のページを向きつつ> 1「みんなあんな感じだといいんだけどねー。」 6「それ一番逮捕歴の多い兄さんが言う?」 [確保された回数の最多も、押収額の最多も言い出しっぺの長男である。] <コマ変わって>[ちなみに、制定後最初に検挙されたのは六男である。] 6「あれ冗談だと思ってたの!まさかマジであそこまでするなんて思わなかったよ!?」 1「どこに向かって言ってんの?」 4「でも最初は予算も贅沢だったからいろいろできたね。今は追いかけてばっかだけど。」<またコマ変わって背景が1期3話のあれ> 6「パチンコの金押収するためだけにあんな事やってたらマイナスになるに決まってるじゃん…」 6(自転車どうしたんだろ。町内引き回しが無くなった事は本当に良かった…) <※パチンコ警察24時シリーズは2017年にこの辺までざかざかっと書いていたが、この際ちゃんと見ようとリアタイ以来の1期3話を見たら記憶の5倍ゲスかった。そんなわけでどうしようかと辻褄合わせを行った幕間がこれ。大体は予算と言う事にしたけど銃ぶっ放してるとこだけはどうにもならないので無視した。…無視したが開き直る心境に至るまで大分時間がかかったことと、六男の能力がはっきり決まってなかったことと相まって次の執筆を始めるまでに1年近くかかってしまったのはここだけの話> ・トド松編 6(…久しぶりに勝ってしまった。) パチンコ店から出る六男。辺りを見回すが、兄たちの姿は見えない。 6(遅くなってしまったし…出動してるだろうなぁ。) 自分の過去の経験からして、まず見つかったら終わり。だとしたら、まず見つからないように家に帰るしかない。帰ってからどう誤魔化すかはまた別の話だ。 6(とっとと帰ろう。) 足音を能力で消し、帰り始める。分かれ道や曲がり角では細心の注意を払う。実際既にパチンコ警察は出動しており、兄たちが探しているようだった。 6(一番注意すべきは十四松兄さんなんだけど…見ないなぁ。) 十四松は匂いで追ってくるので音とか関係無い。なので見かけたら遠くへ逃げるしかないのだが、今の所他の兄たちしか見ていない。 6(まずいな…どんどん家から離れている気がする。) 兄たちに気づかれないように見かけたら別の道を行っているからある程度仕方ないのかもしれないが、気がつけば家が結構遠くなっていた。 6(でもすれ違いはさすがにリスク高すぎるよな…ってわわっ) 曲がり道の向こうから長男が歩いてくる事に気づき、あわてて近くの路地に逃げ込む。 6(うわここ細っ…行き止まりだし。見つかったら終わりじゃん。嫌なとこ入っちゃったな。) 物陰に隠れながら長男が通り過ぎるのを待つ。とその時、 5「わおーん!!」 塀の上から犬の遠吠えが聞こえた。 6(え!?) 上を向くと同時に強烈な光が目に入り、思わず腕で遮る。そして路地の向こうからはバタバタと複数人の走ってくる足音が聞こえた。 6(しまった!!) 路地を戻ろうとするも既に遅く、入り口には兄四人がとても悪い顔をして立っていた。それも六男相手とわかっているため耳栓完備。会ったら終わりとはそういうこと。 1「いやぁお兄さん、こんな時間にこんな所で何をしてるんですか?」 2「こんな狭い路地に一人でいたら、不審者にしか見えませんよ?」 6(謀られたーーー!!) 4「こちら、人捜しをしているんです。」 3「パチンコ勝ったのに兄弟に内緒にしようとする、クズをね。」 6(なんでこういう時に限って無駄に頭回るのこの兄!?いや鬼!悪魔!!) 1「まぁまずは落ち着いて、そのカバンの中身を見せて下さい。それとも、見せられない理由があるんですか?」 6「…わぁぁぁぁぁ!!」 六男、兄たちに向かって特攻。そして玉砕。そのまま取り押さえられる。 2「確保!」 [―×月▽日 PM10:45 松野トド松、逮捕。] <幕間の1ページみたいな感じでその3> 6「ねえ、なんで一松兄さんが保護でボク確保なの?」 4「お前明らかに逃げてただろ。」 6「あれはー、ちょっと出来心って言うか…」 4「それがダメなんだってば。」 ・おそ松編 今回のパチンコ警察、どうもこれまでよりみな少し表情が真剣である。 4「こちら一松。所定の場所に着いた。そちらはどうか。」 2「こちらカラ松。十四松と一緒に向かっている。もう少しで着く。」 5「わん!」 4「了解。トド松は?」 6「大丈夫、決められたとこにいる。ガチ装備もある。…結局最後まで候補絞りきれなかったね。」 3「仕方ないよ、今日別々の店から新台入荷のチラシがうちに来てたし。どっちの店行ったんだろう。あ、こちらはずっと家の前にいます。」 4「可能性高い方にカラ松と十四松向かわせたんだからいいんじゃない。あいつらなら取り押さえられるでしょ。」 (背景回想、匂いはこっちの店の方が強いらしいと追っていく警察犬十四松と一緒に向かうカラ松。) 3「だといいんだけどね。あいつ逮捕歴も最多だけど逃げおおせた数も最多だし。」 6「ていうかそれ以上に負けてもいるわけで、どんだけパチンコ行ってるの…」 2「こちらカラ松、聞こえるか?多分、やられた。」 3「どういうこと?」 2「店の近くで…本人の物と思われる靴下を見つけた。」 5「すっごいくさい!!」 3「……」 4「こちら一松、男が店から出てきた。すっごい笑顔。」 6「このタイミングで!?」 3「あー仕方ない、プランB。一松はどうにか会話で時間稼いで。トド松はその場で待機。カラ松と十四松は早くもう一つの店の方へ急行!」 246「了解!」 うきうきな長男の前にできる限りの悪い顔で四男が立ちはだかる。 4「こんばんは、お兄さん。」 無視してすれ違って歩いて行く長男。 4「お兄さん?…そこのお兄さん!?」 1「あ、俺?ちゃんと名前言ってよー!で何、一松?」 4「う…うん、そこの店からとても笑顔で出てきましたけど、何かあr」 1「今日パチンコ勝ったぞ!2店舗行ったけど両方とも勝ってさー!」 4「は、はい、勝っt」 1「こんなに勝ったの初めてかもしれないからすぐに帰るね。じゃっ!」 すたこらと走って帰っていく長男。 4「いやだから待ちなさ…待…待てって言ってんだろうが!!」 あまりの話の早さにしばし呆然とした四男だが、すぐに我に返って追いかける。しかし差はどんどん広がっていた。 4「トド松!不審者がそっちに向かってる。今日のあいつは話を聞こうとしないからもう最初から黙らせろ!」 6「りょ、了解!」 トランシーバーで伝えた後、四男は猫化し塀の上を渡っていく。 一方六男、ガチ装備という名のメガホンを持って長男を待ち構える。このメガホン、よく百均で見かける普通のメガホンなのだが、六男にかかれば大声が更に大声になりかつ指向性も持たせやすくなって失神させたい相手だけ失神させられるというちょっとした凶器になる。 長男が見えるなり、六何はメガホンから声を出す。 6「そこの男性、止まりなさい!!」 普通なら、止まるどころがぶっ倒れているはずである。しかし長男はそのまま走ってきていた。 6「止まりなさーい!!」 もう一度声をかけるが変わらず。よく見ると、両手で耳を塞ぎながら走ってきていた。さすがに少しうるさそうではあるが。 6(まさかの古典的防御方法ー!?) しかしそのまますれ違わせるわけにもいかない。 6「…無理矢理にでも止めますよ!?」 ぶつかるくらいの勢いで長男へ向かう六男。長男も避けようとするが間に合わない。しかしそこで押しのけようなど耳から手を離せばどうなるかはわかりきっている。 6「あっづ!?」 とその時、炎が六男の顔をかすめた。思わずたじろぐ六男をよそに走り去る長男。その直後、塀や屋根を渡ってショートカットした四男が駆けつける。 4「おい大丈夫か!?」 6「い、一応…取り逃したこと連絡しないと。」 そういう六男の頭、正確には制帽が燃えていた。 6「こちらトド松…」 4「いや待て、早く帽子取れ!」 6「え、なんで?」 4「燃えてる!手かざしてみろ!」 6「…ええぇぇぇ!?水、水ある!?」 4「無いけどまず取れっての!脳まで燃やされたいのか!?」 6「でもこれ外したら警察になりk」 4「もう全くなりきれてねえから!!」 <わーぎゃーした無線を半ば呆れた表情で聞く三男。よくわかってなさそうな次男と五男。> 長男はもう家まですぐ近くの所にいた。と、急に強い向かい風に吹かれ、一旦足を止める。 1「え〜お前もいるの?面倒だなぁ。」 3「面倒なのはこっちだよ。兄さんが相手の時だといつも以上に考えなきゃで。」 1「で、考えた結果がそれ?」 三男が手にしているのはうちわ。それも商店街でタダでもらったやつ。こんなんでも一応ガチ装備である。 1「や〜その格好に合わないね〜、もっとビシッとした奴とか無いの?」 3「どうせ燃やされるんだからこれでいいんだよ。あとドサクサで逃げるな!」 1「うおっ!?」 走ろうとする長男の足下に強い風が吹き、思わずすっ転ぶ。 3「はい確――っ!?」 三男は駆けつけ手錠をかけようとするも、炎に阻まれる。 3「…片方袖無くなってた時点で悪い予感はしてたけどさ…今日のおそ松兄さん、全裸にでもなる気?」 1「まー展開次第かな。」 3「何?そんなにパチンコ大勝ちしたの?」 1「それもあるけど、<ここで次ページにしたい>そろそろ俺もド派手に活躍したいじゃん!!」 3「メタにもほどがある!!!」 1「ここまで来てさぁ、俺が本気で活躍してる話が一個も無いんだよ!?そんなのある!?」 3「そんなメチャクチャな理由で逃げられてたまるか!!」 <言ってる内容はアレですが、言いながら殴り合いも能力も含めた結構なガチバトルやってるイメージ。長男の炎を風圧で防ぐ三男とか。> 場面変わって、ようやく帽子の火を消した六男と四男。 6「あー、かなり大きな穴空いちゃったなぁ…」 4「頭が燃えなかっただけよかったと思う。」 そこに無線が入ってくる。 2「こちらカラ松。もう一方のパチンコ店に着いたが、どうすればいい?」 6「え?今更!?無線聞いてた!?」 2「?なんかお前が燃えてたらしいのは聞こえたが…」 6「そうだったごめん言ってなかった!!いろいろあっておそ松兄さん家の方向かってる!多分チョロ松兄さんが対応してると思うけどすぐ行って!こっちもこれから向かう!」 2「りょ、了解。…ん?」 十四松がカラ松の膝をたしたしと叩く。そして、この距離で至急なら『あの方法』で行く事ができるよというジェスチャーをする。 2「確かにそれが速いかもしれないが…正直その方法は…」 そういう次男を無視し、五男は次男を投げ飛ばしてその上に乗っかった。 2「否応なしかぁぁぁ!?」 再び長男と三男へ。まだ二人とも立っているが、少し三男の方が不利。 3「…悪いこと言わないからさ…カバン降ろすか中身出した方がいいよ。ていうかそうして。」 1「は?ここまで来てそこで素直にやると思う?」 3「だからそういう意味じゃないって。」 1「じゃあ何。」 3「燃えてるの。お前のカバン。」 長男、自分のカバンを見てようやく事態に気づく。 1「なら最初っから燃えてるって言えよ!?」 あわてて長男は燃えかけのカバンから物を出していく。その様子をじっと見る三男。茶色い封筒が見えた所でばっと風が吹き、封筒が舞い上がる。 1「あってめ!」 長男も即座に反応し、ジャンプして封筒を掴もうとする。あと少し、ひたすら手を伸ばす。 1「……っ!」 限界まで手を伸ばし…更に伸ばそうとして何をどう間違ったのか、手から火が伸びた。火の端っこが封筒につく。 3「!?」 これには二人揃って想定外で、三男が風で火を消そうとするも、逆に封筒は勢いよく燃え上がる始末。 1「え…」 燃えさかる封筒が、二人の間に落ちた。 13「…………」 近くの道路に五男を乗せた次男が突き刺さっても気づかず、二人は呆然としていた。 そこへようやく六男と四男がたどり着く。 6「もうカラ松兄さんと十四松兄さん着いてる…速いなぁ。」 4「というかこれ、一体何があったの。」 5「ぼくもよくわかんない!」 <最後のコマの背景、次男は道路に突き刺さったまま。> [―■月●日 AM01:40 松野おそ松、(証拠焼失につき)痛み分け。] 1「いや痛み分けって何?明らかにこっちの損害が大きいんだけど!」 3「勝った額知らないけどそれ除けば痛み分けで合ってる。」 1「そこ一番重要な奴じゃん!?」 <※話の流れ的にここに幕間を挟もうか悩む。でもこれ書かずにいられないんだよな。上の話で持ってはいたが使われる事は無かった次男のガチ装備について。その辺の安い水鉄砲をメタリックカラーに塗っている。次男が使えば当たるとめちゃくちゃ痛い水圧になる。…めちゃくちゃ痛いで済む辺り、まだ優しい方。> ・エピローグっぽい物。題名未定 数日後、昼過ぎの公園にて。 1「あの時の半額未満だけど…また勝てたからいっかぁ。」 コンビニのビニール袋を持って、ベンチに腰掛ける。今日は開店時間から次男と一緒にパチンコ店に行ったが、自分だけ勝ってこっそり抜け出してきた。 1「この時間からビールってのもいいよねえ。」 ビニール袋から缶ビールを取り出す。平日の昼過ぎに公園のベンチでビール、無職でないとなかなかできない事ではある。 1「おわっ…とと。」 缶ビールを開けると中身が少し飛び出てきた。あわてて口を付けるも、少しこぼしてしまう。 1「もったいね。まぁ改めてっと。」 濡れた所を袖で少し拭いた後、再び飲み始めた。 1「は〜。うまい。」 しばらくそのままぐびぐび飲んでいたが、半分ほど飲んだ所で 1「……?」 急に喉を通らなくなった。呼吸もできない。つまりビールを喉に詰まらせた状態。 1「……??」 一旦缶ビールをベンチに置いて首を何度か叩いてみるが変わらない。飲み込めないし吐き出せない。首を上下に振っても無理。液体なのに喉にひっついている不思議な感覚。 1「……!?!?」 いよいよ辛くなってきた所で人目も気にせず地面を転がりまくって数秒、ようやく飲み込む事ができた。 1(危っっぶねー……ビール喉に詰まらせて死ぬとかいくらなんでもないでしょ。そもそもビールって喉に詰まるもんだっけ?でも今現に詰まったからな…) そう思いながらもベンチに戻る。と、次男も座っていた。 1「あれ?お前いつ来てたの?」 長男も元いた場所に座る。 2「少し前からだ。お前が店を出てからすぐ、俺も出た。」 1「え〜、お前負けっぱなしのまま出てきたんだ?…あ、もしかしてビールの中身出したのお前?」 2「水関係を何でも俺のせいにするな。勝って嬉しい拍子でお前が結構振り回してたんじゃないのか?」 1「そんな覚え無いけどなぁ……まぁあるかも。」 2「ただ、喉に詰まらせたのは俺だ。」 1「そっちがお前の能力なの!?やめてあれマジで死ぬ所だったから!」 2「安心しろ、やってみたのは今回が初めてだしこれからも今の所お前にしかする気はない。」 1「そんな特別いらねぇよ!!何なの、俺お前を殺そうとしたっけ!?」 2「…。殺そうとしたも何も、<ここでページ変えたい>お前の炎で半身を焼かれたが?」<背景:扶養組の共同作業の回想> 1「…あれ根に持ってた?」 2「…………」<真顔> 1「ア、ハイ、ゴメンナサイ。」 2「……」 次男は目線を少し下に向ける。長男が合わせて見ると、そこにあるのはコンビニで自分がおつまみに買った唐揚げのパック。 2「それをくれるなら、許す。」 1「素直に食べたいって言えよ。…じゃあこれ分ける代わりに俺が今日パチンコに勝った事弟たちに言わないって事でいいか?」 2「わかった。」 長男は次男との間に唐揚げのパックを置く。箸は一膳しか無かったので一緒に入っていた爪楊枝を次男に渡した。次男が唐揚げを口に入れると、ぱっと顔が明るくなる。 2「お、うまいなこれ。」 1「普通にコンビニで買った奴だけどな。」 1(こいつが単純で本当に良かった…けど二度と飲んでる時にこいつの機嫌悪くできねーな…) 2「…っ!」 と、次男も首を叩き始めた。 1「なんでお前まで喉詰まらせてんの。まあ唐揚げだから詰まるか。」 2「…大丈夫だ、ちゃんと飲み込め…た…?」 唐揚げは数秒で飲み込めたが、首を叩くときに長男とは反対側を向いて、別の存在に気がついた。 1「…どーした?なんかいる?」 長男もその方向を向くと、 6「…バレたか。」 木の陰でスマホを向けた六男がいた。 1「…お前そんなとこで何やってんの?」 6「何って、録画。」 六男は二人の前に歩いてくる。 2「録画って…いつからいたんだ。」 6「おそ松兄さんがそこに座った時から。」 1「ほぼ最初じゃんそれ。てか何で録画してたの?」 6「パチンコ警察の証拠。」 1「は?」 6「カラ松兄さんが来た時に最初録画止めようと思ったんだけど、まさか共犯になるとは思わなくてさー。ホント撮ってて良かった。」 2「ま待てトッティ、勝ったのはおそ松だけで俺はだな」 6「うん、でもカラ松兄さんも隠そうとはしたよね。ちゃんと音も撮れてるから。」 そう言って六男はさっきまで撮影していた動画を再生する。 2「最近のスマホはこんなに高性能なのか…」 1「待って、映像はいいとしてなんでこの距離でこんなに声ハッキリしてんの?」 6「それボクの能力。すごいでしょ。」 1「いや怖……」 6「とにかく、この動画を消して欲しいなら…」 六男がそう言いかけた時、上空から何か音が聞こえた。 126「…?」 見上げると、 3「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ー!!」 三男が落ちてきていた。 3「よ゛ーけ゛ー…て゛っ!?」 特に三人は避ける必要は無く、三男は近くの砂場に頭から突っ込んだ。三人はしばし呆然としていたが、砂だらけの三男が立ち上がってひとまず無事な事を確認すると、 6「とにかく、この動画を消して欲しいなら…」 3「完全無視!?」 三人揃って直前のコマと同じ動作をし、無かったことにしかけてツッコミをくらった。 6「いや…大丈夫そうならいいかなって。」 3「普通何があったかとか聞かない?」 6「どう見てもろくな目に遭ってないでしょ。どこから落ちてきたかは気になるけど。」 3「落ちたんじゃなくて飛んで来たの。」 6「は?物理的ライジング?」 3「能力で走ってもよく転ぶからさ、いっその事自分で自分を飛ばしてみたら絶対転ばないだろうと思って、試しにやってみた。とりあえず飛べた。」 6「転ばないどころが、明らかに墜落してたよねあれ。全然制御できてないよね?」 六男が三男に会話のようなツッコミをする後ろで、長男と次男はひそひそ話。 1「あいつなー、自分で自分の長所に全く気づいていないらしいんだよな。かなり能力使いこなせてるのに。」<少しだけ回想、履歴書話とパチンコ警察のガチバトル> 2「そうなのか?」 1「ま、俺はそのままでいいと思ってるけど。それより…(更に小声でごにょごにょ)」 2「…(ごにょごにょ)」 長男と次男はそそくさとベンチの物を片付け、帰ろうとした所で 3「…それで、あのバカ二人はなんで昼間からこんな所で飲み食いしてるの?」 6「パチンコ勝ってその金で飲んでるんだって。昼ならバレないと思ってたみたい。」 3「へえ?」 三男と六男の視線にぎくりとする。 6「逃げても無駄だよ、ここに証拠あるんだから。」 3「そこそこ勝ってたんだね。これなら兄弟分買えるか。」 結局、長男の賞金は六人全員での今夜の宅飲み代と化した。 1「ちぇー、残り使って更に稼ごうと思ったのに。」 6「それ大抵死亡フラグだから。」 3「そうと決まれば早速買い出しか。」 四人が公園を出ようとした時、不意に次男が足を止めた。 2「……」 1「え?また誰かいるの?」 次男の目線の先には、この昼の陽射しの下なのに人一人分の暗闇があった。ものすごく目立つ。 6「…いるね。また能力を使いこなせてない人が。」 1「いや使えてはいるけど、使う時間と場所が…」 4「…どうしてわかったの。ケツ隠れてなかった?」 3「頭も尻も隠れてたけど、こんな昼間じゃ闇そのものが全然隠れてないよ。」 四男も買い出しについて行く事に。 6「そもそもあんな所で何やってたの?」 4「猫待ってた。最近公園に新しく来るようになった子。臆病だから隠れてた方がいいかなって。」 2「隠れてるのはいいが、猫は見えるのか?」 4「見えるよ。ネコになってれば。さっきの完全な真っ暗じゃないし。」 3「あれで真っ暗じゃないんだ…外からは全然見えなかったけど。」 4「うん、猫は少しの光で見えるから。完全な闇だと無理だけど、」 <次のコマ、ほぼほぼ真っ黒。> 4「このくらいならネコになれば平気。」 1「誰も実演しろって言ってないから!俺らが全然見えねえ!!」 6「あ痛、何すんのおそ松兄さん!?」 3「待って今の違う、僕!!」 <次のコマ、闇が晴れたあとなぜか次男が一番殴られた跡がある> 2「…それで、その猫の事はもういいのか?」 4「うん。さっき公園の中ですごい音がしたから、もう今日は警戒して来ないと思う。」 3「…これ謝った方がいいやつ?」 6「いいやつ。」 三男が四男に謝る横で、辺りを見回す長男。 6「どうしたの?」 1「いや……この流れだと十四松もその辺にいるかなって。」 2「……いないな。」 4「確か壁当てに行ってたはず。壁壊してないといいけど。」 <背景:壁当て説明。壁にボールを当てて跳ね返ったボールをキャッチする遊び。><※どうでもいいが検索するまでずっと壁投げだと思っていた。危なかった。> スーパーにて。カートを押す三男。 6「これも入れる?」 3「いいんじゃない?もしオーバーしたらおそ松兄さんの財布から出せばいいし。」 1「全然良くないっ。」 いくつか売り場を回った後、気がつくと思ってたよりカゴの品数が増えている気がした。見ると入れられた覚えの無い物がある。 3「あれ、それ入れたっけ?」 6「いや、それボクじゃない。カラ松兄さん?」 2「違う。…一松か?」 4「ううん。おそ松兄さんは…あっちでビール見てるから違うね。」 3「えぇ…誰?」 4「とりあえず戻そうか。」 四男は品物を元の棚に戻す。そして更にいくつか回ってレジに並んだ頃、 3「…一松。さっきこれ戻したよね?」 4「うん。」 3「なんであるの?」 4「…なんでだろう…。」 1「え?何ホラー?呪いの商品?」 2「呪いは失礼だろう。こいつはきっと俺たちに食べられたがっているに違いない。」 3「それはそれですごく怖いんだけど!?」 四人がわいわい言いつつ並んでいる中、六男だけは別の方向を見て違和感に気づきかけていた。 6「……?」 スーパーからの帰り道。荷物持ちは長男と次男。 1「…なんで俺らだけなの?」 3「パチンコで勝ったから。」 1「金出したからそれだけでよくね?」 4「でもクソ松は全く文句言ってないよ。」 次男は鼻歌交じりで歩いているくらいには上機嫌。 1「いやあいつ負けたから金出してねえし。あと唐揚げ食べられるから上機嫌なだけだし。買いすぎだろ…」 6「……」 そんな中、やはり六男だけは何も無い所をにらんでいる。 3「どうしたのトド松?」 6「ちょっと黙ってて。」 3「えー…?」 六男はしばらく壁しか無さそうな方向を見ながら歩き、少しして立ち止まった。他の四人もつられて立ち止まる。 6「いるんでしょ?十四松兄さん。」 六男の言葉にぎょっとする四人。 5「バレちゃった。」 1234「え゛え゛え゛え゛え゛!?」 数秒してその先にスッと五男が現れ、四人は驚愕。 3「何それどーゆーメカニズム!?」 5「こーがくめいさい!!」 1「光学迷彩!?お前光るだけじゃなかったの!?」 5「いろいろできるよ!言ってないだけ!」 4「まあ…アレができるならそれもできるか…」 3「いやアレって何。」 6(アレって多分アレか…) 驚愕しながらも、ひとまず六人は歩きながら会話を続ける。 2「トド松、お前はどうやって気づいたんだ?」 6「足音。スーパーにいた辺りから一人多いのに見えなくてどうもおかしいと思ってた。」 5「すっごいね、これバレたのトド松が初めて!」 6「ほんと?ちょっと嬉しいかも。」 3「待って、てことはこれまでも結構使ってたの!?」 5「使ってた。」 3「怖!!」 1「じゃあ、これ入れたのお前?」 5「そだよー!スーパー入ったらみんないたから、ちょっと驚かそうと思って。」 3「だから怖いって。驚いたけどさ。」 5「それでさー、みんな何してたの?おそ松兄さんがパチンコに勝ったってのはわかった。」 6「それだけわかってればいいと思う。」 5「でもパチンコ行ったのっておそ松兄さんとカラ松兄さんだけでしょ?」 4「もう家着いちゃうから、続きは宅飲みしながらかな…」 [そんな感じで、ちょっと能力が追加されただけの日常は続いていく。]