良牙の災難?




 (ここはどこだ………)
 ある日、いつものようにどこかの道を歩く良牙。


  ブロロ……


 後ろから車が走ってきた。

 「こんにちは〜…」
 「ん…?」

 車の中に乗ってる人が良牙に話しかけてきた。良牙にとってはちっとも知らない人。

 「……わだっ!?」

  がただっ

 車は良牙の目の前で止まったとたん、斜めに傾いてしまった。下をみると左半分タイヤが用水路にはまっている。

 「あ、ごめんなさい、今上げるので。」
 「いや……そのぐらいだったら俺だけでもなんとかなるんで。」
 「え……?」

 良牙は車の下の所に手を入れ、持ち上げる。

 「っ………」

  ギギ……ガタンっ

 なんとかタイヤを道路の上に乗せる。結構重く、少し疲れた。車の中の人は少し驚いているようだった。

 「お、お兄さんすっごい力持ちなんですね〜。」
 「まぁな……」

 「えーと、今何をしていたんですか?」
 「……俺もわからねぇ。」
 「あの、わからないって……」
 「まず……ここは一体どこなんだ?」
 「ここって、ここはN県Y村ですけど?」
 「え゛、ここは鹿児島じゃねーのか!?」

 良牙の言葉に車の中の人は少し驚いた様子だった。
 「もしかしてお兄さん……ここの村の人じゃないんですか?」
 「ち、違うっ!俺は一応東京出身だっ!……で、東京にはどう行ったらいいんだ?」
 「……東京なら、この道をただ真っすぐ行けば着きますけど……」
 車の中の人は少し呆れながら答えた。

 「あ、ありがとうございますっ!」

 道を真っすぐ走っていく良牙。目の前には急カーブが……。

 (…えーい、真っすぐは真っすぐなんだぁ〜っ!!)

  どがっ がさがさがさ……

 カーブを曲がらず、道と森の間にあった塀を突き破って良牙は森の中へ突っ走っていく。
 「………」
 それを車の中の人は呆然と見ていた。


 良牙は話に夢中で気が付いていなかったのだが、その車にはテレビカメラがあった。




 ……数日後。
 「あ、おかえりPちゃん!」
 『ぶきっ』
 良牙はなんとか天道道場に行くことができたようだ。途中でPちゃんになってしまったようだが。
 「こいつ、また来たのか?」
 「何よ、最近いなくて心配だったんだから。」
 あかねはPちゃんを抱いて乱馬に言う。
 「………ったく。」
 「ねえPちゃん、良牙くん最近見かけないんだけど、どこ行っちゃったんだろう?」
 『ぶき…』
 あかねの質問にPちゃんは少し複雑な顔をする。
 「良牙ならすぐそばにいるぜ。」
 「え?」
 そう言われてあかねは周りを見回したが、良牙の姿なんかどこにもいない。当たり前なのだが。
 「…いないじゃない。」
 「……そう思っているんだったらそれでもいいけどな。」
 そう言って、乱馬とあかね、Pちゃんは家の中へ入る。茶の間ではちょうどあるテレビ番組が流れていた。
 【毎度おなじみルーレットの旅!今日はN県K郡Y村でーす!!】
 『きっ?』
 (なんか見たことのある場所だな……)
 何度か場面が切り替わる。そして、山道を誰かが後ろ姿で歩いていくのが写る。

 ………どう見ても良牙だった。

 『ぶきっ!?』
 (ってあれ、俺!?)
 「りょ、良牙くん……」
 「……あいつも災難だな。」

 それは、一部始終入っていたのだ。森の中へ突っ走っていく所まで………。

 「良牙くん……また迷うわね。」
 「だな。」
 「てことは、数日間はここ来ないのかしら……」
 「それはどうかな。」
 「え、なんで?」
 「……それはおまえだけで考えろ。」
 「?????」
 テレビの前で、乱馬は呆れ、あかねは乱馬が言った意味を一生懸命考え、Pちゃんはあかねの腕の中で動揺し続けていた……。

執筆最終更新日:2003年1月15日

これ……某TV番組の某コーナーのパロです(爆)
見ていて良牙が出てこないかなぁって気になったんです。もし出てきたらどんな展開になるだろうかと。
ちなみにN県K郡Y村とは私の市の隣の村(今はもう市になっちゃってますが)がモデルだったりする。取材の車が用水路にはまったのも、昔某コーナーのどこかの市で本当にありましたし。
……テレビカメラに気づかなかったというのはどうかとは思いましたが、それに気づくと話が進められなかったので(汗

2006年1月、とうとうモデルのとこと私の住んでいるところが同じ名前の市になってしまいました。良牙〜、そっちで迷ってるんだったらついでにこっちにも来て〜……(待

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