メガネはちゃんとかけましょう(ぉ





   がしっ

 「シャンプー、ここにいただかーっ。」
 「……誰だか知らないけど、うちはシャンプーじゃないっちゃー!」

  バリバリバリバリバリー……




 「ただいまある、ひいばあちゃん。ムースも連れて帰ってきたね。」
 「で……このムースの姿はどうしたんじゃ?」
 ムースは全身黒こげになって気絶していた。
 「わからないね。私が見つけたときは道路でのびていたある。多分、また私と誰かを間違えて抱きついたに違いないあるね。」
 「人騒がせな奴じゃのう。」






 次の日。
 「シャンプー、オラはあの後どうなっていたんじゃ?」
 「だから、真っ黒こげでのびていたある。何度も聞くのしつこいね。」
 「じゃから、他には……」
 「言ってる時間がないね。出前に行って来るある。」
 シャンプーはそう言って猫飯店から出ていった。
 「他には何かなかったのか?」
 「誰に聞いとる。」
 「ん?」
 そう言われて、ムースはメガネをかけてみた。
 「……ヘビのぬけがら。」

   どかっ

 「誰がヘビのぬけがらじゃいっ!」
 ムースはコロンに杖で一発殴られた。




 「あれ……出前先の地図が書いてあったメモ、どこかで落としたかな。」




 「今度はシャンプーが出前の帰りが遅いのう。」
 「今度は……って昨日にもあっただか?」
 「昨日はお主じゃ。とにかく、何かあったのかもしれぬ。わしは用事で忙しいから、探してくれんじゃろうか?」
 「わかっただ。」
 「ただし……」
 「ただし……?」
 「ちゃんとメガネをかけたかどうか確認してからな。」
 「あ゛……」
 ムースは急いでメガネをかけ、猫飯店を出た。




 「あぁ、二丁目の日暮さん家?そこの看板を右に曲がってずっといくと、鳥居が見えてくるからそこの階段を上っていけばあるわよ。神社があるからわかりやすいと思うわ。」
 「わかたある。シェイシェイ!」




 (オラはともかく、シャンプーが帰って来ぬには確かに何かあるな。なんじゃろか……?もしかすると、誰かに襲われた?……それだと大変じゃ!……はっ、でもそこにオラが来て助ければ……)



   『ムース、助かたある。私、ムースのこと見直した。』
   『シャンプー、やっとオラのことを……』



 (そうなれば、オラは……!)


   どげーんっ

 「………」
 妄想のしすぎで目の前をよく見ていなかったのか、ムースは電柱に思いっきり自転車をぶつけてしまった。
 「いたたた……そうとも限らぬな。とにかく、確かシャンプーの出前に行った所はは日暮神社じゃ。まずはそこに行かねば……」
 ムースはまた自転車をこいでいった。しかし、ムースは気づかなかった。電柱にぶつかったときにメガネが外れていたことを……




 「ちょっと、なんであんたがついてくるのよ。」
 「……なんでもねーよ。」
 日暮神社では、ある二人が井戸の中から出てきた。出前のことは知らずに。
 「別になんでもないんだったらついてこなくていいじゃない、勉強の邪魔になるだけよ。」
 「けっ。」


 「シャンプー、ここにいただかーっ!」
 「ぇ…え゛ぇっ!?」
 ムースはいきなりその一方の、髪の長い女の人の前に立った。どうやらその人がシャンプーに見えているらしい。
 「オラとっても心配しただ。」
 「あ…あのー……人違…」
 「てめーそいつに何しやがる!」
 もう一方の男の人らしいのが女の人をかばうようにムースとの間に立つ。
 「らっ……乱馬!?」
 ムースはその男の人が乱馬に見えてしまったらしい。ふと、さっきの自分がしていた妄想を思い出す。
 「乱馬ぁ!貴様には天道あかねという許嫁がいるではないか!」
 「許嫁?なんのことでいっ!」
 「それなのにシャンプーを襲うとはなんじゃいっ!?」
 「シャンプー?訳わからんこと言ってんじゃねぇっ!」
 「あのー……多分それ…」
 「おまえは何も口出しすんなっ、てめーはさっきから一体何を言ってやがるっ!?」
 「じゃからなぜシャンプーを襲ったと聞いておるんじゃっ!」

 「おすわりっ!」

   ぐしゃっ 

 「でぇっ!?」
 「日暮神社、ここだたあるか。」

  ごりゅっ

 「だっ!?」

 男の人は地面に叩き付けられ、同時にムースはシャンプーに自転車で轢かれた。
 「かごめ、てめー何しやがるっ!」
 「だって……」
 「ムース、こんな所で何してるか?」
 「シャンプー、おまえが乱馬に襲われていたから助けようと……」
 「……ムース、メガネかけてよく見るあるね。」
 呆れたように言うシャンプー。それを言われてやっとムースはメガネが外れたことに気が付き、メガネをかけてみる。
 「………………。」
 すると、さっきまでシャンプーだと思っていたのは知らない女の人、乱馬だと思っていたのは犬のような耳をした知らない男の人だった。
 「で、さっきまで一体何してたあるか?」
 「それは……その……」
 「ほら、やっぱり人違いだったじゃない。」
 (あの人、そんっなに目が悪いのかしら……)
 「……でもなんかムカつく。」

 「なんか外が騒がしいが……」
 「あ、じいちゃん!」
 女の人はそのおじいさんの所へかけよる。
 「かごめ……これは一体どうしたんだ?」
 「私もよくわからないんだけど……」
 「あ……これ、ラーメンお待ちね。遅れてすまなかったあるね。」
 シャンプーも女の人のおじいさんの所へ行き、ラーメンを四つ出した。
 「おぉ、そういえば出前頼んでたんだった、ありがとな。」
 「じいちゃん、出前頼んでたんだ……」
 「ムースが迷惑かけてすまなかたある、今回タダでいいね。」
 「ムースってあの男の人……?」
 「そうある。」

 「シャ、シャンプー、それは……」
 「言い訳聞くの飽きたね。黙るある。」

   ばしゃっ

 シャンプーはどこからか水を出し、ムースにかけた。
 『がっ……』
 「え…」
 (アヒルになった……!?)
 「私、もうそろそろ帰らねばならないあるね。再見!」
 シャンプーはそう言って自転車で猫飯店へ帰っていった……


 「かごめ、あいつら一体何なんだ?」
 「私に言われても……」





 「ばばあ、なんでオラは最近出前の仕事がないんじゃ?」
 「またお主がシャンプーと誰かを間違えるといけないからな、当分お主に出前仕事はなしじゃ。」
 「…………」
 ムースは何も言えずに皿洗いをしていた。

執筆最終更新日:2002年8月23日

これは昔、唯一リクエストを頂いて作った物。
シャンプーとムースが絡む話をギャグでというだけだったのに、なぜかラムと犬夜叉、かごめ達まで巻き込んでしまった謎作。
おまけに絶対小説としてあり得ない書き方してしまったし。ラブなんてかけらもありませんね(苦笑

るーみっくへ
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